海開きしたサザンビーチちがさき。今年は梅雨が長引いた影響で海水浴客の出足は鈍かったが、徐々に暑さが本格化してきた。茅ヶ崎海岸では、茅ヶ崎最古の海の家「浜磯」が111回目の夏を見守る。
サザンビーチちがさきは、1898(明治31)年に「茅ヶ崎海水浴場」として開設され、茅ヶ崎に別荘を構える富裕層が、海遊びを楽しんだ。
「浜磯」は、その10年後の1908(明治41)年に大磯町の漁師だった真間政吉さんが、茅ヶ崎の別荘所有者から要望を受けて創業した。政吉さんと2代目庄吉さんが富裕層に泳ぎ方を教えたり、食事を提供したりするなどして店を切り盛りした。
60年代から80年代にかけては、海水浴が夏のレジャーとして定番化。自治会・企業の団体客や、海水浴客を誘致するために茅ヶ崎と八王子を結ぶ直通列車が運行したりするなど、全国から海水浴客が押し寄せた。4代目の義嘉さん(56)は、「駅から海岸まで人通りが絶えなかったのを子どもながら覚えている」と振り返る。海の家は30軒以上、さらに料理を請け負う出店も軒を連ねた。海岸線はビーチパラソルが乱立、「芋洗い状態」だったという。浜磯は、荷物預かり所として2階部分を増築。1日で400人ほどの客をもてなした。
海に新たな潮流
だが、夏のレジャーが多様化したことから客離れが進み、海の家も減少した。これを食い止めようと、99(平成11)年に茅ヶ崎出身でサザンオールスターズの桑田佳祐さんにちなみ、「サザンビーチちがさき」に改称。近年では、サザンオールスターズやaikoさん、平井大さんがライブを開催するなど、新たな潮流が見られる。義嘉さんは「子ども連れの家族でも安心して遊べるし、浜辺で友人と談笑したり日光浴をしたりと、のんびりできるのも良いところ」と魅力を語る。
111年目を迎えた浜磯では今年から、3代目の伊佐雄さん(83)が体力の衰えを理由に店頭に立つことが少なくなった。その一方で義嘉さんの息子・湧太さん(22)が大学の授業の合間に手伝っている。義嘉さんは、「5代目になるかは本人の自由。最も古い海の家として、これからも茅ヶ崎の海を見守っていきたい」。
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