神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
茅ヶ崎版 公開:2020年8月28日 エリアトップへ

「染色」楽しんで50年 東海岸北・吉岡さんが個展

文化

公開:2020年8月28日

  • X
  • LINE
  • hatena
全日本新人染織展で京都市長賞を受賞した「春の海」
全日本新人染織展で京都市長賞を受賞した「春の海」

 東海岸北在住の吉岡末子さん(73)による染色展が8月31日(月)まで、茅ヶ崎市民文化会館の1階展示室で開催されている。自宅にアトリエを構え、着物を中心とした染色を楽しみながら取り組んで50年。「展示が着物の魅力を知るきっかけになれば」と話す。

 吉岡さんが得意とするのは「引き染め」という技法。染液の中に布を浸す「浸し染め」とは異なり、ハケを用いて多様な色合いやグラデーションを描くことができる。

 染色の工程は、まず絵柄をデザインし、型紙を切り絵のようにカット。布に型紙を乗せ、その上から染料をはじく糊を塗ることで、その後デザイン状に染め上げることができる。染料を定着させる「蒸し」のあと、水洗いをして完成だ。

 吉岡さんは絵柄のデザインや型紙のカットといった細やかな作業はもちろん、餅粉とぬかを用いた糊の製作や、自宅アトリエに設置した蒸し器による「蒸し」まで、ほぼすべての工程を手掛ける。「茅ヶ崎の風景をスケッチするなどして、デザインを決めている。型紙を細かく切るのも手間がかかるが、最後までやり遂げるのが楽しい」と話す。

職人のもとで表現開拓

 吉岡さんは小学生の頃塗り絵に熱中。特に細やかな着物の柄を塗るのが好きだった。のちに多摩美術大学デザイン科に進学し、染色を専攻した。

 在学時は枠に縁取られた絵画を染料で描く「染彩画」に取り組むことの多かった吉岡さん。和服を染めるようになった契機は、学生運動だった。「4年生の頃に大学が封鎖されて行けなくなった。そこで、着物を染める職人さんのところに勉強しに行くことにした」と振り返る。

 訪れたのは江戸川の「松原四兄弟」と呼ばれた染色家の工房。1年にわたり、「長板中形」という、型紙を使って藍で染める伝統的な染色技法を身につけた。「学校で学んだデザインと伝統技法が噛み合って、その後の活動に生かされたと思う」と話す。

子や孫の着物作りも

 創作は家事や育児の合間に趣味として継続。作品をコンテストに応募し、賞金を材料の購入代に充てるなどしながら、無理なく楽しんできた。和裁も学び、娘の七五三や成人式の着物は、染色から仕立てまですべてを手掛けた。孫の七五三にも使われ「2代続けて着てくれてうれしい」と目を細める。個展は32年前に初めて開催し、五輪のタイミングに合わせて4年に1度継続している。

 「意外と力仕事」という染色を続けるため、60歳からランニングを開始。湘南マラソンにも出場するなど活発だ。「自宅にアトリエを作ってもらったり、理解を示してくれた家族に感謝したい」と話した。

 個展は文化会館で31日まで開催。さをり織り作家・入澤和枝さんの個展を同時開催。午前9時30分から午後7時(最終日4時)まで。無料。
 

繊細に切り取られた型紙
繊細に切り取られた型紙

茅ヶ崎版のトップニュース最新6

浸水想定いまだ旧基準

津波ハザードマップ

浸水想定いまだ旧基準

相模湾沿い茅ヶ崎市のみ

4月19日

地元の祝福に「幸せだなぁ」

名誉市民加山雄三さん

地元の祝福に「幸せだなぁ」

87歳の誕生日に銅像披露

4月19日

ゼロカーボンへ協定

茅ヶ崎市

ゼロカーボンへ協定

寒川町、東京ガスと締結

4月12日

住宅・商業地上昇率トップ

公示地価

住宅・商業地上昇率トップ

茅ヶ崎市 駅近需要続く

4月12日

避難所3〜7日分を備蓄

災害時トイレ

避難所3〜7日分を備蓄

「自宅避難」は想定外

4月5日

加山さん銅像お披露目へ

加山さん銅像お披露目へ

11日、名誉市民証も贈呈

4月5日

<PR>

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 3月1日0:00更新

  • 11月17日0:00更新

  • 11月10日0:00更新

茅ヶ崎版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

大岡越前縁の寺で祭

【Web限定記事】

大岡越前縁の寺で祭 文化茅ヶ崎市

4月20日 「浄見寺まつり」

4月16日~4月20日

茅ヶ崎版のイベント一覧へ

コラム一覧へ

茅ヶ崎版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月19日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook