映画「咲む」を上映する茅ヶ崎市聴覚障害者協会の会長 湊 弘志さん 58歳
会話できること伝えたい
○…全日本ろうあ連盟創立70周年記念で製作された映画「咲む」を全国に広げていく一環として、茅ヶ崎でも5月4日に上映する。聞こえないながらも奮闘する主人公を観て「あんな前向きに生きていけたら楽しい」と音を失った自身も、野球やマラソンなど積極的に挑戦を続けている。
○…横須賀市で生まれ、横浜で育った。3歳の時に家の階段から落ち、聴覚が不自由になった。横浜のろう学校の幼稚部〜高等部まで通い、中高生時代は「『巨人の星』を見て憧れた」と野球部に所属した。「下手だった」と笑いながらも試合や練習には欠かさず参加。審判が合図を分かりやすく出せば健常者とも試合ができ、熱中した。今ではテレビで湘南マラソンを見たことをきっかけに、十数年前から三浦国際マラソンなどフルマラソンに挑戦。市内で練習を重ねている。
○…高等部卒業後は地元の銀行に入行。事務を担当し、筆談でコミュニケーションを図り働いている。日常生活でも、会話の際は口の動きや表情が会話の助けになっていたが、コロナ禍では皆マスクを着けているためコミュニケーションが厳しくなっている。今はアイコンタクトや透明なマスク、フェイスガードなどを使っている。
○…20年前に茅ヶ崎に移住し、同協会に入った。約7年前から会長を務める。市内ろうあ者の高齢者の見守りや、行政に対して生活向上のための要望書を提出するなど多彩な活動をしている。今、一番心配なことは災害時。サイレンや音声案内が聞こえず、逃げ遅れることを危惧している。ろうあ者は見た目ではわからないため、話しかけられたあとに慌てられることも。「筆談や携帯を駆使すればスムーズに会話できることを知ってもらえたら」と話した。
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2022年5月6日号
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