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茅ヶ崎・寒川 トップニュース社会

公開日:2025.10.24

行谷の谷戸湿地・湿田ビオトープ
自然共生サイトに認定
茅ヶ崎市内では初

  • 保全活動のようす=提供

  • シュレーゲルアオガエルも観察されている=提供

 茅ヶ崎市北部にある「行谷(なめがや)の谷戸湿地湿田ビオトープ」がこのほど、環境省から自然共生サイトに認定された。民間によって生物多様性が保たれている区域を国が認定する取り組みで、同市内では初。15年にわたって保全活動を続けてきた市民団体は「認定をきっかけに、より多くの市民に谷戸の貴重な自然や保全に関心を持ってもらえたら」と話す。

 自然共生サイトは、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全することを目指す国際的な目標(30by30)などの実現に向け、昨年度から始まった。今年4月には取り組みを法制化した地域生物多様性増進法が施行され、9月に新たに201カ所が認定された。

 その一つが、茅ヶ崎市行谷の0・3haの湿地。元々は水田だったが、1990年代末には休耕状態になったと見られている。現在は植生への遷移が進んだ結果、あぜ道や湿った草地、細流などの湿地環境が残っている。

 この場所の保全活動に取り組むのが、市民団体「茅ヶ崎野外自然史博物館」(熊澤泰信代表)だ。同団体は01年に発足し、県立茅ケ崎里山公園内の里山での観察会開催や保全活動を行ってきた。

 行谷の谷戸での保全活動が始まったのは09年。当時、開発による盛り土などで周辺の湿地が急速に失われていた。そうした事態に危機感を抱いた団体の関係者が所有者に呼びかけ、休耕田の一部を借り受けた。

 現在は10人ほどのメンバーが、春や秋を中心に草地の管理や水路の整備のほか、セイタカアワダチソウなど外来植物の駆除を行っている。

 今回の申請に当たって環境省に提出した過去3年分の観察記録では、区域全体で植物59種、昆虫類150種、両生類3種、鳥類29種、哺乳類6種など計261種の動植物を確認した。「湿地を代表する生物」の一つであるシュレーゲルアオガエルや、日本で一番小さいネズミであるカヤネズミが安定的に観察されるなど、市内でも有数の生物多様性を保っている。

 同団体の関係者は「認定をきっかけに貴重な湿地への関心をもってもらい、保全の機運を高めていきたい。企業・団体との連携も進めていけたら」と話している。

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