平塚・大磯・二宮・中井 人物風土記
公開日:2021.04.08
平塚地区自閉症児・者親の会(平塚やまびこ会)の地区代表を務める
雨宮 恵子さん
長持在住 57歳
視線の先に「当然」の社会
○…平塚駅南口の噴水に鎮座する人魚像「海の賛歌」が、日没を迎えると青色にライトアップされている。自閉症の子の保護者らで構成される「平塚地区自閉症児・者親の会」(通称/平塚やまびこ会)の中心メンバーとして市に働きかけ、実現した。これは自閉症への正しい理解を広める啓発の一環で、ほかにも同会の地区代表としてさまざまな取り組みに奔走。「想像力、優しさ、ゆとりある社会の実現」を目指している。
○…埼玉県に生まれた。幼少期にピアノを習い始め、小学生の時には合唱コンクールの東日本大会に伴奏者として出場した。音楽が持つ表現力に魅せられ、中学では音楽部に所属。「もともと内気な性格だった」が、ピアノの上達と共に自信も備わり、生徒会活動などにも積極的に加わるようになった。高校卒業後は教員を志し、東京学芸大学の音楽科に学んだ。
○…都内の中学に勤めていた28歳の時に結婚。平塚へ移り住み、その後3人の子宝に恵まれた。3歳児健診で長男が自閉症だと分かったのは、今から20年ほど前。長男が成人した今も常に目が離せず、外出時は手をつないで移動する。これまで心無い噂や偏見に心を痛めることも少なくなかったが、うれしい出来事もあった。「3姉弟が同じ小学校に通えることが決まった時、長女と次男が心から喜んでくれて。『世の中には色々な個性が存在して当然』ということを彼らから教わった気がした」と振り返る。
○…県自閉症協会の会長も務めるなど、多忙な毎日の中にあって、自宅でのピアノ練習は大切なリフレッシュの時間になっている。今後については「引き続きやまびこ会の活動に全力を」ときっぱり。「尊重し合える社会」に向け、不退転の覚悟をのぞかせた。
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