明治期に活発だった湘南地域の自由民権活動結社「湘南社」を研究する雨岳文庫民権の会の岩崎稔さん(77・平塚市在住)が、このほど冊子「『湘南社』民権家群像〜大住・淘綾両郡と愛甲郡の民権家たちの足跡〜」を発行した。新型コロナ感染予防のためメールでデータを配布している。
岩崎さんはこれまで、石碑を解読したり民家に眠っていた古文書を読み込むなどして、湘南地域の知られざる民権家の存在を発掘してきた。大磯ゆかりの人物としては、官約移民で渡ったハワイで日本人労働者の労働環境改善に奔走するなかで非業の死を遂げた後藤濶や同時期に米国へ留学した鈴木房五郎、二宮町では二宮駅の開設や秦野・二宮間の交通網の整備に尽力した伊達時などがいる。今回発行した冊子では、同時期に活躍した人物をその功績とともに紹介。岩崎さんは「例えば、平塚盲学校の前身を設立した宮田寅治と猪俣道之輔の憲法論議は、戦争の反省と主権在民に重きを置いている。彼らの生き方、思想は現代を生きるヒントにもなるはずです」と話す。
岩崎さんは「こんなに素晴らしい人たちが地元にいる。この冊子はほんのさわり。興味を持ったら雨岳文庫民権の会の活動などを通じて深堀りしてみてほしい」と呼びかける。
冊子データが欲しい人は【メール】m.iwasaki@wg7.so-net.ne.jpへ。問い合わせは岩崎さん【電話】0463・33・8769へ。
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