小田原市在住の絵本作家・最勝寺朋子さん(32)が、デビュー作品『しらすどん』(岩崎書店・税込1540円)を7月に出した。
中井町出身の友人から発想
同作品は、シラスを食べ残した少年がシラスの身代わりになって不思議な体験をする物語。子どもの頃から「食べないで捨てたら、何のためにシラスの命をもらったのか」と考えてきたという中井町出身の友人が、発想のきっかけになった。「地元でおなじみのシラスも生き物であり、その命をいただいている」。友人と同じような思いを抱いていた最勝寺さん。シラスの一生に想像をめぐらせ、おいしいシラスを食べられるありがたさに気づいてほしいと、絵本を作った。
創作にあたっては近隣の漁師に同行してシラス漁を体験。ダイビングのライセンスを取得して海に潜り、シラスと一緒に泳いだ。水族館や水産技術センター、ごみ処理施設などにも取材を重ねたほか、子どもがご飯を食べている姿や様々なポーズをデッサンさせてもらうなど、大勢の子どもたちに絵のモデルとして協力してもらった。
「食品ロスや海洋資源のことを念頭に作ったが、子どもたちが絵本を自由に読んで楽しんで、好きなように受け取ってもらえたらいい」と話す。読者から「無性にしらす丼が食べたくなった」「緻密で迫力のある絵に圧倒された」などと反響が寄せられている。
最勝寺さんは元タウンニュース秦野編集室記者。取材を機に生物画家で絵本作家の舘野鴻さんと出会い、絵本作家を目指した。退職後、舘野さんに師事。細密な絵のタッチやプロ作家としての心構えなどを学んだ。デビュー作には、取材と創作に5年を費やした。
原画展やトーク
『しらすどん』の原画展が8月10日(火)まで神田神保町のブックハウスカフェ(【電話】03・6261・6177)で開催中。8日(日)にオンラインでも参加できるトークショーがある。小田原市の平井書店(【電話】0465・22・5370)では、9月23日(木・祝)にブックトークを予定。
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