一昨年の夏からスタートした「スクランブル・ダンスプロジェクト」の発表会が2月24日、小田原市民会館小ホールで開催された。
2016年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」をきっかけにはじまった同企画の、初めての発表会。障害があるなしに関わらず、共にダンス作品をつくるという小田原市主催の企画で、これまでに5回のワークショップが行われてきた。ワークショップの講師を務めたのは世界中で活躍してきた舞踏家の大野慶人さん(79)。発表会は舞踏家の松岡大さん(35)の演出のもと、子どもから大人まで25人が参加した。
決められた振付を練習して踊るのではなく、音楽に体をのせて自由にイメージを表現するというもの。ドビュッシーの『月光』が流れる中、満月をイメージしてダンスを披露した参加者の一人、柴辻鈴子さん(70)は「自分の気持ちを表現して動くことは高度に感じたが、素晴らしいこと。学校の授業でも、子どもたちが経験できたら」と感想を述べた。また、『アメイジング・グレイス』の曲と共にバラの花を持って登場した参加者たちは、「太陽に向かって伸びていく花」と「光が届かない闇に向かって生きていく根」を表現。綿を使った踊りでは、「引き裂くのに力がいるが、引き裂かれると柔らかくのびていく」綿の特徴に人間の心を重ね、「堅さも柔らかさも人は全て持っている」ことを表した。
発表会を終えて松岡さんは「花や小道具を抵抗なく使い、イメージができるのは2年間積み重ねてきたもの」と成果を語った。大野さんは「生きるということの大切さを伝えたかった。一人ひとりが生きることに自信がもてるよう、今日のように障害の敷居を取り除くことが日常化するとよい」と話した。
第2部では「障がいのある人もない人も共に楽しむ共生社会に向けて」をテーマにシンポジウムが行われた。主催者で小田原市芸術文化活動専門員の間瀬勝一さんは「健常者の意識を変えなければいけない。『舞踏』を選んだのは健常者がリードするのではなく、一人ひとりが思いを表現できるから。今後も取り組みを続けていきたい」と話した。
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