小田原版 掲載号:2018年9月15日号
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「神奈川がんばる企業エース」の認定を受けた(株)グラスキャリコの代表取締役を務める 岩沢 達さん 前川在住 44歳

果てなき道を歩む幸せ

 ○…工房に並ぶグラスを「この子」と呼ぶのは、手作業で生み出す作品への深い愛情の表れだ。ガラス作家として稼ぐのは楽ではないが、「赤く溶けたガラスのそばにいられたら幸せ」と意に介さない。とはいえ、工房を手伝う妻と子2人を支える夫であり父でもある。「好きなことをやらせてもらっているからこそ、子ども達にひもじい思いはさせたくない」と、近年はガラス吹き体験教室の開催にも積極的。こうした経営努力が評価され、神奈川県から「神奈川がんばる企業エース」の認定を受けた。

 ○…群馬県出身。高校卒業後は建設会社を経て、車の整備士として地元で働いていた。特別な思い入れはなく、仕事中に考えるのはアフター5のことばかり。だが24歳の時、知人に連れていかれた横浜のガラス工房で人生の転機を迎える。ドアを開けた瞬間に目に飛び込んできたのは、初めて見る色とりどりのガラス工芸品。「これをやりたい」。一瞬にして心奪われ、専門学校へ入り技を学んだ。あれから約20年、情熱は今なお増すばかりだ。

 ○…30歳の頃、見識を広めようとワーキングホリデーを活用してオーストラリアへ。トレーラーハウスに住み、農場で牛の世話をして過ごした。「庭でカンガルーと鉢合わせすることもある田舎。星空が美しかった」。ある晩に牛舎から眺めたリング・アラウンド・ザ・ムーン(月光冠)。その感動から生まれたのが、水を注ぐとあの光景が底に現れるグラスだ。

 ○…大正時代の蔵を改装した工房は、夏場となればサウナのよう。眼前の相模湾から吹き上げる潮風が扇風機代わりだ。額から汗を滴らせ、竿に息を吹き込み考えるのは、「さっきより今度はもっと上手に作りたい」。クリアのない果てなき道だからこそ、夢中になれる。

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