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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2019.03.02

古民家を改装し小田原に転居した女優
丘 みつ子さん
南町在住 71歳

ありのままで、いい塩梅

 ○…愛犬と海辺や小田原城周辺を散歩することが日課。笑顔はやさしい母親のようであり、また少女の面影も感じさせる。デビューして半世紀。数えきれないほどのTVドラマや映画で活躍する大女優でありながら、飾らない、気さくな人柄が印象的だ。

 ○…30年以上暮らした箱根から、このほど南町に転居。「お友達がいっぱいいるので、慣れた土地という感じがしていました」。落款や能の謡曲を習いに通っていたこともあり、身近な街でもあった。「終の棲家」として購入した築80年の古民家を、夫と2人で1年半以上かけて改装。「何十年も息をしてきた古い建物を大切にしたい」という思いから、腐った土台以外は残し、コツコツと手作りでリノベーションを試みた。時代を経た柱や建具だからこそ、他にはない新鮮な感動を呼ぶ住まいが完成した。

 ○…歳を重ねると味わい深くなるのは、俳優業も同じだという。「若い頃はぶつかり合っていましたが、歳をとるといい塩梅になりますね」と笑う。たくさんの経験から豊富な知恵袋を手に入れた今、「柔軟な頭でお芝居ができるから面白い」と、クリエイティブな仕事ぶりは輝きを増す。

 ○…東京・王子に生まれた下町育ち。「つくり手」としての才覚は幼い頃に芽吹き、就学前からミシンを踏んでいた。生地を選び、デザインを考え、将来の夢はスタイリストだったという。40年間没頭している陶芸に対しても、溢れる創作意欲は無限だ。活力の源は「いいものを見て、いい人とつき合い、ありのままでいる」こと。心身を養う食事にも妥協はない。味噌は自分でつくり、質の高い安全な野菜を選ぶ。「小田原には自然の美味しいものがたくさんある。知れば知るほど、いいところ」と、声を弾ませた。

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