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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2023.11.25

小田原有機の里づくり協議会の代表理事を務める
石綿 敏久さん
小田原市久野在住 71歳

有機農業の大切さを発信

 ○…12月2日、各地の有機農業の生産者が集う小田原オーガニックフェスタを主催する「小田原有機の里づくり協議会」代表。市内初の大規模な催しを控え「まずは手に取って食べて楽しんでほしい。全国の出店者と交流し、その思いも感じてほしい」と期待を語る。

 ○…久野で300年以上続く農家の15代目。20歳から家業を継いで数年後、収穫したミカンの評価表を眺めるうち、農薬を使って色や形にこだわる農業に疑問を持った。「一生懸命作るのは皮ではない、中身を重視した農業をやってみよう」。減農薬など、試行錯誤の挑戦は周囲の目やプレッシャーを感じながらも、40歳を迎える頃には無農薬農法に切り替え、日本初の無肥料でのキウイ栽培も実現した。「オーガニック農家の多くが同じ思いをしてきたが、生き方を見せるうちに周囲も変わっていく」。理解が広まる現状は、全国の仲間たちとの地道な積み重ねによるものだ。

 ○…現在は大学で海洋学を学んだ息子と、約2万5千平方メートルの田畑でともに奮闘中。「教えることがいっぱいで大変だよ」とうれしそうに表情を崩す。先駆者として国内外からの農業視察を受け入れながら、有機農業に取り組む市内農家のサポートや地元農協との連携、小学生にはコメ作りを教えるなど「倒れるまで現役のつもり」と多忙な日常を笑い飛ばす。

 ○…食に対する関心の高まりは、急速に進む環境悪化によることも大きい。「そんな時代が来るとは思っていたけど、こんなに早いとは」。実践してきたことが花開いただけではない風潮に歯がゆさは感じるが「身体によいものを、という考えの大切さに気づいてもらえたらうれしい」。まずはきっかけづくりから、そんな思いでイベントの成功を願っている。

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