地域の子どもたちに昔ながらの遊びを伝えている 柳川 幸也さん 南足柄市矢倉沢在住 50歳
教育も福祉もみんな一緒
○…松田町子どもの館の祭りでコマ回しなど昔ながらの遊びを子どもたちに伝える。子どもの目線と同じ高さにかがみながら、紐の巻き方や回すコツを根気よくできるまで教える。「最初はできなくても子どもは最後までやりきる純朴さがある。一緒の目線に立つことで見えてくる」と声をはずませる。遊びを伝える活動は「時間が許す限り続けたい」と今やライフワークとなった。
○…山に囲まれた自然豊かな大井町の山田に生まれた。小学4年生の担任が、子どもの館で館長を務めたこともある故・尾崎忠昭さんだった。「遊びが足らん」と連れ出され野山を駆け回ったのが良い思い出。土曜日の午後は先生と子どもたちが集まり、メンコやベーゴマなどで遊んだ。その外遊びは1979年に大井町を拠点に発足した「あしがらあそびの学校」に引き継がれ、40年近く経った今も地域に根付き、そこで今度は伝える側としての使命を担っている。
○…高校を卒業すると家業の左官業を継ごうと働き始めたが、恩師が関わる障害者の地域作業所に足を運ぶなかで障害の有無に関わらず人との縁をつくる福祉の仕事に魅力を感じ、20代の頃に職員となった。2011年に上郡5町の地域作業所が統合してNPO法人「KOMNY」になり、現在は大井町の事業所「ほほえみ」で所長を務める。教育や福祉といった分野の「垣根を作らず」皆の居場所が増えることが願いでもある。
○…13年前、奥さんの実家がある矢倉沢に引越しした。「やらないよりやったほうがいい」がモットーで、北足柄小のPTA会長や地域おこしにも参加。「今では奥さんよりも名が通っているかも」と笑う。矢倉沢も山田も「自然が多く人が優しい風土」という。ざる菊まつりではあそびの学校のメンバーが舞を披露するなど足柄平野を横断する交流も生まれた。これからも繋がりを大切にしたいと考えている。