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「諦めない心」で夢つかむ 南足柄市出身 岸谷沙七優さん

文化

掲載号:2020年5月16日号

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プロダンサーの夢を叶えた岸谷さん
プロダンサーの夢を叶えた岸谷さん

 秦野市曲松のバレエスタジオ「ダンスナッツ」(岩本奈月代表)に通う岸谷沙七優さん(きしやしゃなや・20・南足柄市出身)が、東京都渋谷区にある「新国立劇場」のバレエ団への入団を決めた。厳しいオーディションに合格し正式な団員となったのは、今回は岸谷さんただ1人。9月からプロのダンサーとして舞台に立つことになる。

プロのバレエダンサーに

 新国立劇場は、国内唯一の国立劇場としてオペラ・バレエ・ダンス・演劇を高い水準で公演している。所属団員は給料が発生するプロとしてその分野に集中できる環境が整っており、多くの表現者たちがオーディション合格を目指している。

 岸谷さんが受けたバレエ団では、国内外から送られてきた書類審査で50人弱に絞られ、最終の3次試験には9人が残った。基準も厳しく技術や表現力はさることながら、身長やスタイル、等身、手足の長さなど細かいところまで審査の対象になるという。年によっては合格者0ということもある狭き門となる。

 「オーディションではコンクール受賞歴も重視されます。私は小さい賞はあっても大きな受賞がないので、それがコンプレックスでした」と振り返る。その逆境を跳ね返し夢をつかんだのは、持ち前の負けん気と、ぶれない心、周囲の支えがあってのことだった。

強い心で基礎重ね

 岸谷さんがバレエを始めたのは9歳の時。「バレエのかわいいコスチュームを着てみたい」と思ったのがきっかけだった。最初は友人が通うスタジオを見学したが、幼心に「違う」と感じナッツを訪れた。

 インスピレーションで「ここだ」と思い、通うことに決めた岸谷さん。ピアノと少林寺拳法を習いクラシックと体を動かすことが好きだったことが相まって、バレエの虜になるのに時間はかからなかった。

 新国立劇場のバレエ団を目指そうと思ったのは、中学生の時に同劇場のバレエ研修所を知ってから。ホーム(劇場)を持ち、仕事として専念することができる国内で最も恵まれた環境に身を置くことが夢となった。

 研修所には15・16歳が受けられる予科生と17・18歳が受けられる研修生があり、夢実現の一歩のため16歳で選考試験を受けるも不合格。しかし、そこで腐ることなく週5のレッスンを続けた。

 特別なことはせず、「なぜできないのか」「どうすればできるようになるのか」を常に考えて原因を突き詰め、注意されたことは忘れないようすぐ修正するという地道な基本の繰り返し。その努力が実り、18歳で研修生に合格した。

 「この時、推薦で大学進学が決まっていて。両立の道も考えたんですが、バレエに専念するため辞退しました」と岸谷さん。自分が決めた夢を絶対に実現させようという強い気持ちで2年間の研修生に臨んだ。

さらなる高み目指し

 夢への一歩を踏み出した岸谷さんを待っていたのは、周囲との実力差という現実だった。研修生15期に受かった6人の同期の中で「一番下手で、最初はとても辛かった」と話す。しかし、持ち前の負けん気で「周りがびっくりするくらい上手くなってやる」と奮起。 目標を書いた紙を部屋に張り自分を奮い立たせ、くじけそうな時にはお気に入りの曲を聴いてモチベーションを高めた。また、常に協力して支えてくれた母親の存在も大きかったという。

 合格の報を聞いた時、「頭が真っ白になって、足元がふわふわして手が震えて。夢みたいで信じられない気持ちでした」と、心境を語る岸谷さん。周囲も号泣するほど喜んだそうで、岩本代表も「うちはもともと現代舞踊がメインで、基本を教えるためにクラシックバレエを取り入れた。今はこれが中心になっていますが、教えていることが正しいと体現してくれた」と喜びを語る。

 日本人の母親とカナダ人の父親の間に生まれた岸谷さんは恵まれた体格を持つ一方で、その体格ゆえに周囲より少し体が硬いというコンプレックスがある。「でも、だからこそ回転が安定するという強みもある。バレエはコンプレックスとの戦いなので、自分の強みを生かして欲しい」と、岩本代表はエールを送る。

 「周りから何を言われても、絶対に諦めないという強い心が一番大事。往生際が悪いんです私」と笑顔を見せる岸谷さん。「ここまででいいというものはないし、そう思ったら伸びなくなる。まだまだ未熟なので、いい環境の中でさらに高みを目指し自分を磨きたいです」と、夢のスタートラインについた今の率直な気持ちを述べた。

 岩本代表によると、今後ダンスナッツで企画している発表会で、岸谷さんにゲスト出演してもらう予定だという。

岸谷さんの華麗なポーズ
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