地域の交流拠点につなげようと、私設図書館を作った 瀬戸 恒彦さん 山北町在住 65歳
福祉の充実、未来を作る
○…実家の隣に昨年、私設図書館を作った。山北の歴史を伝える書物を中心に子ども向けの本も揃う。一般的な図書館とは違い、地元や地元以外の人が、山北でつながる地域の交流拠点と位置づける。「気軽に寄れるような場所にしたい」と柔和な表情を見せる。
○…生まれも育ちも山北町。東海大学工学部出身。オイルショックで就職難の時代、両親の勧めもあり神奈川県庁に入庁し、県立高校100校計画や介護保険制度の立ち上げに従事した。介護保険制度への関わりをきっかけに福祉の分野にのめり込む。縛られない活動をめざし45歳で県庁を辞め、介護・福祉サービスの情報提供や相談、人材確保・育成などを行う「かながわ福祉サービス振興会」を立ち上げた。その後は各種法人を立ち上げ「社会を良くしたい」という思いで精力的に活動をする。多種多様な会社や経済団体を設立し経営に携わった渋沢栄一を理想とする。
○…20年の春、故郷の山北町の地域振興に取り組むことを目的に「一般社団法人かながわ地域振興会」を設立した。活動の舞台は、古民家に改装した実家だ。これまでに味噌作りやカヌー製作のワークショップ、セミナー開催、里山再生の取り組みなどを展開している。横浜に構えるかながわ福祉サービス振興会事務所と山北を行き来する多忙な日々を送る。
○…「裏山で穫れるみかんを横浜の事務所に持っていくとみんな喜ぶんだよ」と、トラックの荷台に積まれたもぎたてのみかんを目にどこか誇らしげ。「山北町は自然に恵まれ、私たちは多くの恩恵を受けている」と話す。「5年、10年後か分からないけど、私たちの活動が実り、山北町が健康と仕事の両立ができる場所になればいいね」と奮闘は続く。