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公開日:2013.07.04

岩根加奈さん尾尻在住
筆と墨で自在に表現
「書」を軸にデザイン制作

  • 開成あじさい祭でのパフォーマンス

  • 採用された特許庁のロゴ

 市内名古木にアトリエを構え、筆と墨を自在に操り、時には数メートルのキャンバスに大胆に描き、時には色紙程の大きさにも表現をする書家の岩根加奈さん(33・尾尻在住)。6月に開成町で行われた開成あじさい祭では2m×3mほどの紙に龍とアジサイを描くパフォーマンスを披露し、文字が書かれた色紙を来場者にプレゼントするなど観客を魅了した。



 現在「書家かな」として都内を中心に全国で活動している岩根さんの出身は静岡県。高校卒業と同時に母の実家があり、父の仕事の拠点でもあった秦野に移住した。かねてから「デザイナー」という言葉に憧れがあり、東京工芸大学芸術学部に進学。大学時代はデザインを学ぶ傍ら、自分の好きな龍の絵や水墨画などの画風を突き詰めていた。同じ頃、デザイン性を取り入れ文字をより美しく表現する手法、カリグラフィーに出会った。表現の幅を知った岩根さんは当時デザインに没頭していたという。卒業後はグラフィックデザイナーとしてデザイン制作会社に勤務。書の素養を活かして商品のパッケージデザインなどをしながら、書家の田中逸齋氏に師事し、書の基礎を学び直した。現在は書家として独立し、イベントでのパフォーマンス、筆文字ロゴデザイン、テレビのテロップ制作など多岐に渡り、絵のように感じる「書デザイン」という新分野のアートで活動している。



ルーツは「風神雷神図屏風」



 岩根さんの父は広告看板業で、幼少から筆や絵の具は身近にあり、絵を描くことが好きだったという。中学生のときに教科書等で見た「風神雷神図屏風」の神々しさに感銘を受け、模写を始めたのが現在のルーツ。墨書で日本人の心情である侘び寂びを重んじつつ、華やかだがしっとりした日本独特の金色を施すなど独自の世界観を表現している。



 「『書は人なり』という言葉があるように、自分を映し出すもの。邪(よこしま)な気持ちや見栄えを気にすればそれが作品に表れる」と話す。岩根さんは真白な紙と対峙する際「紙=神」との思いで、身を清め真摯な姿勢で向き合うよう心掛けている。



 今後について岩根さんは「まだ道の途中。人の心に触れるような作品を求め、お客様の喜びを大切にしたい。将来は書や着物などの日本文化を世界に紹介していきたい」と抱負を話した。



特許庁のロゴも手掛ける



 書家として独立後、一時期、特許庁での勤務経験がある岩根さんは、同庁のロゴマーク刷新時に応募し、2010年に採用された。「JAPAN PATENT OFFICE(特許庁)」の頭文字をとった「JPO」を独自の感性でデザイン。黒い「J」の部分は書道からインスピレーションを受け、青い丸は企業の信頼や誠実さを表現。赤い丸は「日の丸」をイメージしているという。

 

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