市内鈴張町の市有地に予定されていた八木病院の移転計画が、当初想定から遅れる見込みだ。東京五輪需要等による建築資材の高騰や病床設計の見直しなどで、新病院の建築費が見込みを大幅に上まわることが明らかになったため。同病院から10月11日、八木優一副市長に移転延期等に関する申入れがあった。
移転計画は、八木病院と市が2015年9月に協定を締結し、両者で継続的に協議を進めてきた。
協定は、築50年以上と建物が老朽化している同病院の新築移転用地として、産婦人科開設と24時間態勢で分娩業務を行うこと等を条件に、市有地の賃貸借契約を結ぶ内容だ。
開業時期について同病院では「2018年秋を目指す」という目標で市も了承していた。
今回の移転延期は同病院から10月11日、八木優一副市長に直接伝えられ、31日に文章であらためて申入れがあった。
市によるとその中で、一度の延長を経て今年9月末が協議期限となっていた市との協定をいったん解除し、東京オリンピック開催前後を目途とする建設相場が落ち着く時期に、あらためて市と移転について協議したいという方針が示されていたという。
八木病院は取材に対し「移転計画を待っていただくことで市に迷惑はかけられないので、今回の申入れをした」と説明。また「現在の建物で、不妊治療など婦人科医療の強化を進める予定もある。それらを含め新たな事業計画を作成し、12月に市に再提出する予定」と話している。
市内では、2015年3月に年間約700件の分娩を扱ってきた秦野赤十字病院が産科医不足を理由に受け入れを休止し、現在も再開の見通しは不明だ。八木病院では移転後、おおむね200から300件の分娩の受け入れが見込まれ、産科不足解消の方策のひとつとして市が移転を支援してきた。
八木副市長は、「この見通しは受け入れざるをえないと思うが、計画の実現が延期になったことは非常に残念」と話す。また、12月に再提出される計画の検証を経て「産科を含めた新病院ができるだけ早く実現できるように、市としても連携していきたい」と話した。
新病院の計画は、6階建てで延床面積は約5800平方メートル。病床は現在の94床から120床に拡大する。
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