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公開日:2021.02.19

とちくぼ買い物クラブ
WHOの報告事例に
高齢者の買い物支援

  • 「とちくぼ買い物クラブ」の車に乗る利用者ら

  • WHO発表「『健康な高齢化の10年』に関する基調報告書」抜粋(資料:神奈川県)

 高齢者の買い物支援を行っている「とちくぼ買い物クラブ」(土田正幸代表)の取り組みが、昨年12月にWHOが発表した「『健康な高齢化の10年』に関する基調報告書」の中で紹介された。



 WHOが発表した基調報告書は、2021年から2030年の10年間で高齢者や地域社会の生活を改善するため、世界中の高齢者を中心とした様々な機関が協働して行っている取り組みをまとめたもの。日本からは「とちくぼ買い物クラブ」の取り組みのほか、神奈川県の未病指標が掲載されている。



 同クラブは栃窪自治会の有志7人により運営されている取り組み。毎週水曜日、自家用車などの移動手段がなく買い物が困難な高齢者を対象に、近隣の峠地区にある直売所「土のかおり」やスーパー「ヤオコー秦野店」への送迎を行っている。



 秦野市南西部、山間に位置する栃窪地区(世帯数93)は、高齢化率が50・6%と高い。路線バスもないため、以前から約2Km先にある渋沢駅やスーパーまでの移動手段の確保などが課題となっていた。2017年に市政懇談会の中で要望が出たことをきっかけに、渋沢・千村地区18自治会で「買い物支援アンケート」を実施。特に要望が多かった栃窪自治会をモデル地区として、秦野市が公用車を貸し出し、自治会有志が運転者・支援者を務め、スーパーなどに高齢者を送迎する買い物支援を実施することになった。



 2018年9月から3カ月間の試行期間後、近隣の社会福祉法人浄泉会(やまばと学園)が送迎用車両を貸し出してくれることとなり、12月から本格始動。当初は栃窪自治会主体で運営していたが、現在は独立した組織として続いている。



交流の場に



 同クラブのボランティアも務めている栃窪自治会の関野辰夫会長は、「これまでも県内外から研修や問い合わせをいただき、いろんな形で取り組みが広がっている」と話す。現在、同クラブに登録している高齢者は13人。高齢化に伴い、今後も登録者が増えていくことが見込まれている。



 利用者にとって、同クラブの取り組みは単なる買い物支援だけでなく、普段会えない人との交流の場となっているという。また、雨の日などは買い物後に2カ所ある乗降場所ではなく、自宅まで送るなど臨機応変に対応をしているため「重い物を買ったり、まとめ買いができるようになって助かっている」という声もあるという。土田代表は「手伝ってくれる6人のおかげで長続きしている。みんな、ボランティアという気負いなしにやってくれているからありがたい」と感謝を述べる。



 同クラブを支えるメンバーの平均年齢は71歳。今後は継続できる組織作りも重要な課題だ。土田代表は「市や地域事業者などのバックアップがあってこそ。利用したい人がいるなら、最後の1人になっても続けていきたい」と話した。

 

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