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公開日:2023.04.28

新規開院で分娩再開へ
秦野市と葵鐘会(きしょうかい)が協定

  • 協定書を交わす高橋市長(左)と山下理事長

 秦野市は4月19日付で医療法人葵鐘会(山下守CEO理事長・愛知県)と「女性と子どもが住みやすいまちづくり」のための連携協定を締結した。この協定により新規クリニックが建設され、空白となっていた秦野市内の分娩が再開されることになる。

 11月開院をめざす同法人の産婦人科クリニック(産科有床診療所)「アクアベルクリニック」は、秦野警察署近くの市所有地(秦野市鈴張町3の25/2881・47平方メートル)に建設される。建設費用等については、市の「産科有床診療所整備等支援事業費補助金」を活用。上限1億円の支援を受け整備を行う。

 病床数は13床。開院後は月間で40〜50件の分娩の取り扱いを見込む。また、分娩のほか宿泊型及び日帰り型産後ケア、新生児等の発育・発達に伴うサポート、女性特有の健康課題等に関する事業などを予定。同院で出産を希望する妊婦については、開院までの健診等は地元の「はだの南レディスクリニック」(平井規之院長/秦野市立野台1の2の3)と連携体制をとるという。

8年越し課題解決に

 市内における出産環境の問題は、2015年3月末にそれまで年間約700件超の出産を扱っていた秦野赤十字病院での分娩業務休止に端を発している。以来、業務再開を求めて協議を重ねてきたが合意には至らず、また既存病院での産婦人科開設の道を模索するも、建築資材の高騰や病床設計の見直し等により計画が中止となるなど、暗礁に乗り上げていた。

 しかし2021年10月、新聞報道等で秦野市の分娩環境について知った同法人からの問い合わせを契機に、課題解決に向けた動きが活発化。22年11月に「分娩取扱施設としての病床の確保」と「開設に向けての準備要件が整うこと」を前提に、市有地の賃借の申し込みを受けたという。

 そんな中、市内で唯一分娩を取り扱っていたクリニックが23年3月から分娩業務の休止を発表。山下理事長は「分娩の空白地になってしまうことに危機感を覚えた」と話す。そのため開院に向けた動きを早め、今年2月3日に基本協定を締結。3月に病床確保に関する県の手続きを経て、4月19日に連携協定及び賃貸借の締結が行われた。

 4月24日に行われた記者会見において、高橋昌和市長は「市民にとっては8年越し、念願の出産環境が整うスタート地点となる。山下理事長には『医療は私たちに任せてください。その代わりに、環境整備は市にお願いしたい』と心強い言葉をいただき、今日に至った」と市内での分娩再開に向けた喜びを語った。山下理事長は「産科医を取り巻く環境は厳しいが、少子化の現在においては絶対に必要なインフラであると認識している。出産だけでなく、女性のライフサイクルの総合的なサポートができるよう、裾野を広げていきたい」と展望を語った。

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