秦野市唯一の酒蔵「金井酒造店」(堀山下182の1)の代表取締役会長に4月1日、エンタメ型地域活性化コミュニティ「ココハダLAB」代表のジェントルゆうすけ氏(本名・椎野祐介/(株)ココハダLAB代表取締役)が就任した。5月27日(土)・28日(日)には、同店で事業再生に向けた第一歩となる「蔵開きフェスティバル」を催し、新作の日本酒等を発表する。
金井酒造店は明治元年創業の酒蔵で、秦野の名水で仕込んだ酒「白笹鼓」で知られている。しかし昨今は業績が悪化し、コロナ禍でダメージはさらに深刻に。2021年にM&Aを見据えて酒造事業を独立させ、(株)金井酒造店を設立すると、同年10月、中小企業の再生を手掛けるファンド会社「くじらキャピタル(株)」(東京都)が(株)金井酒造店の酒造事業を取得した。
以来、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じた酒造の再生をめざし、ECサイトの立ち上げやSNS運用、商品やコーポレートのリブランディングなどを実施。その結果「再成長に向けた一定の萌芽が見えた」とし、23年1月に(株)ココハダLABにくじらキャピタル(株)が持つ(株)金井酒造店の全株式を譲渡した。4月1日付でゆうすけ氏が会長に就任したことで、新たなスタートを切ることになったという。
ゆうすけ氏によると、くじらキャピタルから株式譲渡について話が来たのは22年の年末。「正直とても悩みましたが『地域愛』、これにつきました」とゆうすけ氏。経営者としても試算を重ね「いくらでもチャンスはある、未来に向けてココハダが関わることで盛り上げていけるのではないかと感じた」と話す。
「笹」をブランド展開
再スタートを切るにあたり、ゆうすけ氏がビジョンに据えたのは「地域に開かれた酒蔵」「未来を醸す酒を造る」の2つ。また、同酒造の代表である「白笹鼓」ブランドをより細分化し、新たな「笹」ブランドの設定、海外への進出も視野に入れた酒造りにも着手した。
その一環として、今回の蔵開きフェスで発表されるのが「銀笹(ぎんざさ)」と「碧(あお)笹(ざさ)」の2種類。「銀笹」は「磨かない酒」として酒米の旨味が楽しめるものに、一方「碧笹」は酸味の高い白ワインのような味わいに仕上がっている。このほか、ココハダLABがめざす「地域活性」につながる酒として地元の湘南ゴールドを使った「湘南ゴールド」や小田原産ライムを使った「カミカゼロック」などの新商品を発表する。
ゆうすけ氏は「今後も新たな『笹』シリーズの発表や、蔵見学、酒米プロジェクトなどを予定しています」と展望を語る。蔵開きフェスは両日午前10時から午後4時まで。問い合わせは金井酒造店【電話】0463・88・7521。
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