公募新人短編文学賞「第1回TANPEN AWARD」大賞を受賞した 阿部 静さん 横浜美術大学勤務 27歳
突き進む「冒険ガール」
○…自身2度目の雪山の旅。その経験をつづった作品が「冒険エッセイ」として評価された。「自分にとってあまりに大きな出来事だったから、ちゃんと残しておきたかった」と、まっすぐに微笑む。現在、大賞の特典である電子書籍化に向け、旅のエピソードを加筆中。表紙の絵も手がけるとあり、多忙な日々に嬉しい悲鳴を上げる。
○…両親に連れられ、幼い頃から家族で山菜採りや海でのキャンプを楽しむアウトドア派。小学生の頃に越してきた寒川町に今も暮らす。「中学の頃は写真が好きで、畑とか田んぼとか、よくカメラを持って散歩していた」。短いシンプルな文章を好み、感情のまま詩を書くことも。舞台照明を手がける父の背中を見て、ものづくりに関わる仕事がしたい、と横浜美術大学(鴨志田町)の前身の短大に入学。在学中からアートイベントの運営や企画を行うNPOを手伝い、卒業後はアートスペースに勤めた。「美術をやってる人が出入りする場所。すごく刺激を受けた」。自身も線で絵を描く「ドローイング」での創作を続けながら、母校に助手として勤務し3年目になる。
○…「旅は実験。ものを持って自分を移動させる行為」。持てる最低限のものを持って、動く。バイクでできる範囲、ザックを持って行ける範囲、この服でできること、この3点にこだわる。そのために工夫する。最近始めた魚突きでは、2mほどのモリをどうやってバイクに収めるか苦心した。テントを積んで野宿することもしばしばだ。「究極は遊牧民。最低限のもので、移動しながら暮らす姿に憧れる」と目を輝かせる。「でもそこまでする勇気がないから、旅をしているのかも」
○…最近「水深40mまで撮れる」ウェアラブルカメラを買い、海に潜って映像を作ることを目論む。始めたばかりの魚突きも「(エッセイに)書きたくなると思う」とにっこり。あくなき好奇心が形を変え、表現の幅を広げていく。
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