関東学院大学サッカー部のOBで、現在海外のプロ選手として活躍する大津一貴さん(26)と日野健人さん(25)がそれぞれ一時帰国した。言葉や文化の壁を乗り越えて挑戦し続ける2人に、サッカーへの思いを聞いた。
大津さんは今年初めて、海外でのサッカーに挑戦した。所属したのは、モンゴルトップリーグの「FCウランバートル」。FW(フォワード)として得点を重ね、リーグ戦2位と、カップ戦準優勝に貢献した。
「日本のサッカーとは雰囲気もリズムも全く違う」と現地の雰囲気を話す。体力や能力の高いモンゴルの選手に驚かされる一方、戦術的なノウハウは日本の選手の方があるという。「言葉が通じなくても、身振りで技術を伝え、声を掛けあってきた」と振り返る。
言葉も文化も異なる地で挑戦しようとしたきっかけは、4年前にさかのぼる。
きっかけは「がん」
高校、大学とサッカー部に所属。大学時代は県選抜にも選ばれる活躍をした。しかし4年生の頃、半月板を割る大けがをしてしまう。「プロとの差も感じていた。けがによって完全に諦めた」。サッカー引退を決意し、卒業後は住宅リフォーム会社に勤めた。
そんな中、悪夢のような出来事が起きる。精巣に、悪性のがんが見つかった。「発見が遅ければ明日死んでいたかもしれない」…検査した際の医者の言葉だ。「病院のベッドの上で、初めて『死』を考えた。今死んで後悔するのは、サッカーを辞めたことだと思った」
次の瞬間には、がんの恐怖よりも「もう一度サッカーをしよう」というワクワク感のほうが大きくなったという。退院後、体力づくりと傷のリハビリ、そして海外チームのセレクションという段階を着実に踏み、夢をつかんだ。
「ひとりで海外に挑戦しつづける怖さはもちろんある」という。しかし「がんがなければ絶対に選ばなかった道。今年またセレクションを受けるが、頑張りたい」と笑顔を見せた。
自己責任で戦う
日野さんは現在、オーストリア5部リーグのSVトンダッハ グラインシュテッテンに所属している。
大学3年生の頃、国体の県代表に選ばれたのが、海外に挑戦するきっかけだった。年上の選手と交流するなかで、将来へのイメージが徐々に固まったという。
「広い世界を見たい」。卒業後、海外への挑戦を支援するチーム「HBO東京」に入団。1年間、アルバイトで資金を貯め、実力を養った。オーストリアへ渡り、トライアウトを受け、現地のチームに入団する。
海外でのプレーは3年目。振り返ると、苦労は多かった。一番の壁は「言葉」だったという。「最初のチームは日本人がいたが、次に所属したモンテネグロのチームは大変だった」。セルビア語が公用語の同国。寮で同室だった現地選手とは、コミュニケーションがうまく取れず喧嘩ばかりだった。いま感じるのは、住んでいる国の言語で話すことの大切さだ。現在はオーストリアの公用語・ドイツ語を勉強中だという。
海外で戦っていく厳しさも痛感している。「結果が出なければクビ。自己責任の世界。めげないことが大事だと思う」。サッカーの技術以上に、「人間的な成長」が戦っていくために不可欠だと、海外で学んだ。
今はまだ見ぬ「広い世界」を求めるため、挑戦は終わらない。
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