西区は「市民病院」
横浜市は全国的に不足している産婦人科医師を安定的に確保するため、この4月から「産科拠点病院」として市内3医療圏で3病院を指定した。中区を含む南部医療圏(港南・南・磯子・中・金沢・栄の全6区)では「済生会横浜市南部病院」(港南区)、西区を含む西部医療圏(保土ケ谷・旭・西・瀬谷・泉・戸塚)では「横浜市立市民病院」(保土ケ谷区)が選ばれた。北部医療圏は「横浜労災病院」(港北区)。
産科拠点病院は、横浜市が中期4か年計画(2010〜13年度)の1つとして準備を進めてきたもの。この3病院は産婦人科医師を10人以上確保し、周産期救急患者の受け入れなどを強化していく。
産婦人科医師は過酷な労働環境のため全国的に不足。医師の高齢化なども加わり、分娩施設の減少にもつながっている。横浜市の産婦人科医師は12年末で318人となっている。
医師不足により発生するのが、分娩施設が見つからないといった、いわゆる「出産難民」や周産期(※1)救急に対応できない事態だ。横浜市はこれらの解消策として、産科拠点病院に産婦人科医師を集約。安定的な医師数を確保して医師1人あたりの負担軽減を図り、緊急時にも対応できる体制を整えた。
市大が医師派遣
今回指定された3病院には、横浜市立大学(金沢区)が協力して産婦人科医師を派遣。結果、各病院とも10人以上の医師を確保できるようになった。また、周産期救急患者の受け入れを強化するため、夜間と休日の当直時間帯は医師2人を必ず配置する。
南部病院の産婦人科主任部長・仲沢経夫(つねお)医師は「5年程前は6人だった産婦人科医師が、今は11人。以前は緊急時の対応など医師の負担は重かった」と話す。同病院の分娩件数は08年度756件だったのに対し13年度は818件に増えた。
産科拠点病院ではハイリスクの妊婦(※2)の受け入れも強化するほか、地域の医療機関への症例検討会なども開催し、連携体制を充実させる。若手の産婦人科医師にとっても、産科拠点病院での勤務は多様な経験を積める環境にもなり、将来的にも安定した医師数を確保することにつながる。仲沢医師は「積極的に地域住民を受け入れ、緊急時は対応していく」としている。
(※1)妊娠22週から生後満7日未満までの出産前後の期間で、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性がある。(※2)高齢初産や高血圧、糖尿病などの合併症がある妊婦。
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