中国アムール川近郊に生息し、鹿児島県出水市で越冬することで知られる「ナベヅル(鍋鶴)」が、昨年暮れから相模川沿いの葉山島付近に迷い込み、その姿を観ようと連日多くのカメラマンや見物人が押しかけている。姿が見られるようになって3カ月余り。地元住民は、ツルの行く末を心配し、見守っている。(4月7日現在)
ナベヅルは、鶴の一種。タンチョウヅルよりも小型で灰黒色、首から上が純白なのが特徴。中国とシベリア近辺のアムール川近郊に約1万羽生息し、昔は冬になると日本各地に飛来していたが、現在は鹿児島県の出水市でその9割以上が越冬している。
ナベヅルが葉山島に姿を見せるようになったのは、昨年末の12月30日頃から。年明け程なくして、そのうわさが広まり、1月、2月には多い時で50人近いカメラマンがシャッターチャンスを狙いに集まっていたという。
葉山島に古くから住む西山正・好江夫妻は「子どもの幼な鶴が迷い込んだという珍しさもあり、最初の頃は多くのカメラマンや見学者が訪れていました。我々も毎日見学しに出かけていましたのでよい散歩になり、健康にも良かったですよ」と振り返る。現在は、気温が暖かくなってきたためか、朝方と夕方の数時間、葉山島の水田などに姿を見せ、日中は林や草むらへ身を潜めているのだという。西山夫妻は、鶴が心配で今でも毎日その姿を見に訪れている。「もう姿を見せるようになってから3カ月余りが経ちます。葉山島は田園地帯も多く、落ち葉や昆虫など食料には困らなかったと推測され、体も大分大きくなってきました。しかし、生息地にもどらなければならない季節が近づいてきていますので、今後が心配ですね」と話す。
鶴の生態に詳しい、相模原市立博物館の秋山幸也学芸員は「何かしらの理由で、1羽だけ迷い込んだのでしょうが、神奈川にツルが飛来した例は初めてです。現在では、我々ができる対策がないので、動物本来の本能によってもどっていくことを期待しています」と説明した。
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