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町田版 公開:2017年5月4日 エリアトップへ

教えて!学芸員さん 「どんな仕事をしてるの?」 〜がんじゃない本当のこと〜 

文化

公開:2017年5月4日

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質問事項

【1】 学芸員としての仕事は

【2】 この仕事の面白さや大変さ

【3】 今回紹介した企画展、または今後予定している展示会について 

町田市民博物館美術史学 専攻学芸員歴23年矢島 律子さん

【1】専門分野の東洋陶磁史を核として、町田市立博物館が収蔵する中国・東南アジア陶磁の保存管理、調査研究のほかに、広く陶磁史と工芸美術史の魅力を探究し、それを皆様にお伝えするのが仕事です。学芸員を含め正規職員6人、館長1人、嘱託1人の小規模館ですので、ダンボール箱を運ぶ力仕事も展示作品のネーム(キャプション)札作りもポスター・チラシの発送準備も、何でもやります。電卓抱えて予算書を作ったりもします。

【2】今まで誰も描けなかった、あるいは気づいていなかった作品の美の秘密を発見したときの喜びが原動力です。また、それを展覧会にして「よかった」と皆様に言っていただけたら、それが本望です。休日の旅行も習い事も購入本も考えごとも、すべてが学芸の仕事のために回っています。展覧会前の胃痛・腰痛は長年の友人です。悩みといえば、ずばり、時間がないという点です。最近の社会の要望に応えるべく普及や広報関係の比重を増やしていて、これはこれで面白いものですから、すべての基盤となる調査・研究にかける時間が減っている気がして心配です。欲張りすぎでしょうか。

自由民権資料館日本近現代史 専攻学芸員歴20年松崎 稔さん

【1】自由民権資料館では自由民権運動と町田の歴史を担当しているので、史料の発見→整理→保管→研究→活用が主な仕事です。ある家の蔵が開くと数千点の史料が発見されることも多く、内容を確認しながら一点ずつ整理するので、完了には数年かかります。その史料は市域の人びとの歩みが記された市民全体の財産ですので、半永久的に残せるよう保管の努力をします。さらに研究して明らかになったことを展示や講座で還元する、というサイクルです。史料に登場するのは無名の人たちが多いのですが、そういう人たちの心情や行動、そこで起きた出来事の一つひとつが歴史を編んでいると思っています。

【2】第一に、「学びたい!」との強い思いを持った人と接する機会が多いことです。講師や展示解説をした際、熱心な方とお会いするとやりがいを感じます。第二に新しい史料の発見です。整理作業をしていると時折新たな発見があります。忘れ去られてしまっていた出来事や人の心情が記された史料と出会った最初の人間なるのですから、至上の喜びです。ただ、その喜びは山のような史料との格闘を続けるなかでのことで、史料整理は気の遠くなるような作業でもあります。

国際版画美術館美術史 専攻学芸員歴2年町村 悠香さん

【3】「HANGA JUNGLE」展は、横尾忠則氏の「版画」の枠を超えた作品群を「HANGA」と称し、その創作活動の全貌に迫ることが狙い。見どころは、約250点に及ぶ作品と、常に異なるスタイルで森羅万象を描いてきた作品群による様々な生命が共生するジャングルのごとき展示空間。生命力に満ちた総天然色の色彩が溢れ出しています。

 美術館は作品の収集・保存・展示が主な業務ですが、本展は収集と展示が結びついて実現した企画です。当館は日本唯一の版画専門の美術館として30年間活動。その点も評価され横尾氏ご本人から当館へ作品寄贈のご意向をいただきました。企画に先立ち、129点の作品寄贈のための調査などを実施。展覧会のためには、横尾氏との打合せ、作品と資料の調査、展示プラン作成、会場と図録用の解説執筆、作品展示作業を実施。打ち合わせを重ね、横尾氏ならではのアイディアをいただき、その実現に向けて多くの方のご協力を得ることで、面白い展覧会となるよう努めてきました。例えば「展示室にHANGAのジャングルを出現させる」ため、綿密な設計図や特製額を作成。多くの展示数を見やすく展示するため、時には深夜に及んで案を練りました。横尾氏のHANGAを集大成する二度とない大回顧展です。

町田市民文学館文学 専攻学芸員歴11年神林 由貴子さん

【1】町田市民文学館では年4回の企画展を開催しています。学芸員は、その展覧会の企画――テーマを決めて、資料調査を行い、関係者への挨拶や連絡をし、資料借用の交渉を行い、ポスターやチラシなどの広告物や図録を作成し、資料を展示する――はもちろん、展示関連のイベントの企画――展示内容をより深く理解してもらい、来館者に楽しんでもらうためのイベントを考え、講師を探して交渉、事前準備をへて実施――のほか、資料整理、文学講座や講演会(などの教育普及事業)の企画・運営等も行っています。

【2】展覧会を企画するとき、どのテーマをどのように展示したらお客様に興味を持ってもらえるかを考えて内部で議論を重ねます。その際、それぞれの展覧会において、お客様にこれを伝えたい!ここは知ってもらいたい!という〈核〉となるものがあります。文学は実体がないので、作品の内容や作者の思いを具現化・視覚化するのが難しいのですが、展覧会をご覧になったお客様が学芸員の伝えたかった内容を汲みとって評価してくださったとき、何ものにも代えがたいやりがいを感じます。

矢島 律子さん
矢島 律子さん
松崎 稔さん
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町村 悠香さん
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神林 由貴子さん
神林 由貴子さん

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