3年ぶり2度目の関東大会出場を決めた向上高校野球部の監督を務める 平田 隆康さん 社会科教諭 39歳
向上野球 育ての親
○…「コールド負けしないといいね」。そんな声も聞こえるなか臨んだ、県高校野球春季大会準決勝、東海大相模戦。1点を追う9回2死2塁、昨夏の準々決勝でラストバッターとなった1番三廻部が打席に立った。「先輩方の夏を終わらせてしまったと自分を責め、今まで必死に練習してきた男。あの場面も信頼して送り出しました」。値千金の一打で追いついた向上が延長の末、逆転勝ち。見事、下馬評を覆してみせた。続く決勝戦でも、センバツ出場の横浜をあと一歩まで追い詰め、「神奈川に向上あり」を印象づけた。
○…今大会で準優勝し、2度目の関東大会出場と夏の第1シードを決めた。部員112人を誇る強豪私学だが、道のりは平たんではなかった。駒澤大、社会人野球を経て、28歳で向上へ赴任した。監督になって今年で12年目。「当初、新入部員は毎年1ケタ。夏は初戦敗退が続きました」。専用グラウンドや寮はなく、伊勢原球場での練習は「週1回できるかどうか」。他校から「私学一恵まれていない環境」とからかわれたこともあったが、それを言い訳にせず、選手と汗を流し続けた。
○…「野球を通じ、自分よりもチーム、仲間に費やせる人間になってほしい。やればできる。信じている」。選手に向け続けた「信頼」の二文字が、選手に自立心、チームに一体感をもたらし、それが向上野球の礎となった。「向上は退部者が県内でも少ない」と各校の監督が口をそろえるのは「チームの結束力だと思います」
○…現在、妻と開成町に暮らす。忙しい毎日のなか、食べ歩きがリフレッシュの方法だといい、時間を見つけては夫婦で横浜中華街へ行くそう。だが頭の中は今、野球のことだけだ。関東大会の初戦は5月18日。保土ヶ谷球場で山梨1位の甲府工と戦う。「関東で初勝利できると信じています」。選手一人ひとりに信頼を寄せる闘将は、やさしい表情でそう抱負を語った。
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