大豆戸町在住赤崎監督 障害をもつ妹の日常描く 卒業制作映画『ちづる』全国へ
大豆戸町在住で立教大学出身の赤崎正和さん(23)が、卒業制作としてメガホンを握ったドキュメンタリー映画『ちづる』。知的障害を持つ妹の日常生活を切り取った作品だ。先月から全国でロードショーが決まるなど、注目を集めている。
『ちづる』は、自閉症と知的障害を持つ赤崎さんの妹・千鶴さん(21)の日常生活や、互いに支えあう家族にカメラを回し続けた作品だ。
赤崎さんは「友達と妹の話になった時、これまでは『障害』という言葉を口にすると重い空気になるのが嫌だったので、話題に出すことを避けてきた。しかし、そういった壁を乗り越えたいと考えるようになり、撮ることを決めました」と動機を語る。
イメージを払拭
「『障害』というと本人や家族が”つらい”などのイメージが先行し、『その人らしさ』が消えてしまう。それを払拭したかった」と赤崎さん。
作品では、千鶴さんの19歳から20歳までの一年間の日常生活を追った。自閉症は、同じ行動と動作の繰り返しや、特定の物や場所に強くこだわる特性がある。千鶴さんも毎日同じ自動販売機に同じジュースを買いに行く様子や、100円玉を製造年ごとに収集する習慣がハンディカメラで撮影されている。また母親の財布から勝手にお金を抜いて2人が取っ組み合いの喧嘩をするなど、リアルな描写も。しかし、全編を覆う雰囲気は、千鶴さんのかわいらしく、ユーモラスな姿やあどけない笑顔、明るく元気な表情がおさめられている。
大学で赤崎さんは、現代心理学部映像身体学科に所属。映画監督でもある池谷薫教授のもと、作品を仕上げた。撮影が進むうちに千鶴さんの将来を真剣に考えるようになったという。その結果、卒業後の進路を福祉の道へ決定。現在は都内の生活介護事務所の生活支援員を務める。「子どもを持つ母親、障害児を育てる保護者に特に観て欲しい」と語った。
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