4月に武相中学・高等学校の校長に就任した 田中 徳孝さん 都筑区在住 62歳
現場主義活かし役割全う
○…創立83年の歴史ある学校の校長に4月に就任。「思いもよらなかった」というのが当初の心境。前校長の体調を考慮し、母校で体育教師を務め約40年になるベテランに白羽の矢がたった。「生涯現場主義」。生徒と授業で接していられることが教師としての喜びの一つ。現場を離れることは寂しいが、「期待されてお声がけいただいた以上、しっかり務めたい」。生徒、教員の2つが調和して学校が成り立つと言い、長年現場で培ってきたものを活かして、環境づくりに励む。
○…川崎市多摩区に生まれ育つ。多摩川が近く、自然の中を駆け回る活発な男子だった。小学校では「体育の先生」に憧れを持ち、陸上の世界に飛び込むきっかけや、教師を目指す礎に。中学では陸上部中心の生活、そして武相高校に進学。男子校を希望したのは、気を使わず、自分をさらけ出せると思ったから。「そして相手を深く知ることができた」という。友人たちとは今でも連絡を取り合う仲だ。
○…進んだ日体大にはトップアスリートが集まってきた。競技では太刀打ちできないと、途中から後輩の指導・アドバイスに力を入れる。「大学記録などの結果が出て、喜んでくれた」。そこで指導者への思いにも気付く。卒業後、縁あって母校の教師に。29歳から、校長になった現在も陸上部の顧問を務める。部として初のインターハイ出場や、のちの五輪選手の育成にも携わった。
○…将来像を描き、かなえる努力をする生徒たちをサポートし、世界に羽ばたく人材を育成するのが役目だ。還暦を過ぎても元気でいられる秘訣は「生徒たちの存在」。「英気をもらっているのかな。生徒たちが頑張っている姿をみると応援したくなるし、自分の励みになる」と目を細める。