港北区 人物風土記
公開日:2026.07.16
新稽古55周年を迎えた岸根囃子連の会長を務める 伊藤 武夫さん 岸根町在住 83歳
自然体で伝統をつなぐ
○…岸根囃子連が新稽古を開始して55周年を迎えた。現在の会員は約30人。本来は50周年の節目を祝う予定だったが、コロナ禍と前会長の逝去により断念。1年間の喪に服した後、周囲から推されて新会長に就任した。立ち上げメンバー10人の一人でもある。「当時は長男しかお囃子に選ばれなかった」と振り返り、地域の協力や歴代の師匠の理解があってこその今日だと感謝する。
○…岸根町の農家の長男として生まれた。幼い頃は「学校から帰るとおやつを持って田んぼへ向かい、農作業を手伝うのが日課」。新幹線開通など、地元が発展していく姿を間近で見てきたという。その後、自動車整備会社を立ち上げ、現在は第一線を退き不動産管理に携わる。40代で参加したカナダへの海外遠征では、現地で仕事のやり取りをしながらもお囃子の魅力を世界に伝えた。
○…挑戦を恐れない行動力を持つ。35歳から始めたハンググライダーでは、高度3100メートルまで上昇し、オーストラリアやカナダの空も飛んだ。「トンビやカラスの飛び方を見て、ダメ出しをできるようになった」と笑う。お囃子の血は脈々と受け継がれており、子ども3人のうち2人がお囃子に参加。さらに5人いる孫も全員が継承し、地元で活躍している。「好きでやっているだけ」と目を細める。
○…指揮者がいないお囃子で、音を合わせるには阿吽の呼吸が求められる。自身はお酒を飲まないが、「これも稽古のうち」と練習後の酒の席での団らんを欠かさず、仲間とのコミュニケーションを大切にしてきた。「残さなければという義務感ではなく、好きなことを楽しむ姿が自然と次世代へつながる」。現在83歳。55年間続けたありのままの姿を、これからも自然体で守り続ける。
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