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公開日:2022.09.08

上矢部町の企業AI動画を制作
「唐人お吉」の史実に迫る
「横濱外国人居留地」と接点

  • 原作漫画を持つ杉本さん(上)と予告編サムネイル

 上矢部町の企画制作会社・(株)PBC(杉本武社長)が、「横濱外国人居留地」と「唐人お吉」の関係を描いたAI音声動画を制作した。杉本社長は、小説・映画などで広く知られる物語と、史実が異なることに興味を持ち研究を進めるうち、ちまたで「お吉」とされる写真が居留地で撮影されたことを確認し、撮影者を突き止めた。。動画はYouTubeで無料公開中だ。

 杉本さんが研究を始めたのは10年前。家族で静岡県・下田に旅行に出かけた際に地元図書館などで資料を読んだことがきっかけ。

 下田で初代駐日総領事のハリスに仕えたのち、当時の偏見や差別により悲劇的な最期を迎えたのが「唐人お吉」の物語。そして「お吉」として伝聞される寂しげな「少女」の写真--。いずれも史実とは異なることを知ったという。以後、独自に研究を進めるうちに、写真が横濱外国人居留地で撮影されたことに加え、撮影したのはオーストリア人写真家・シュティルフリートであると判明。居留地の歴史研究家・斎藤多喜夫さんと知り合ったことなども後押し、まず2020年に杉本さん原作の漫画を出版、次いで今回動画を制作、発表した。

 動画は漫画『横濱居留地17番地「士官の娘」と3人の写真家たち』にAI技術で声があてられている。「実験的試みでもあった。イントネーションや間の調整を実際の人間に寄せるのは大変だった」と杉本さんは話す。

「少女」は誰なの?

 外国人の居住と営業許可がされた1860年設置の横濱外国人居留地。白黒写真に彩色された「横浜写真」という外国人向けの土産物の中で、特に人気が高かった少女の写真が存在したとの話から動画は始まる。次いでその写真が撮影された経緯、少女は誰なのかが語られていく。史実と推理を絡ませながら「お吉」の”正体”を追う。

 「横浜写真」の写真原板の多くは1886年の火災で焼失した。この写真が「唐人お吉」として誤認されたのは同時期に実在した「斎藤きち」という女性の不遇の人生が昭和初期に小説で脚色され広く世間に語られ、いつしか物語は史実と混同し、少女が「お吉」になったのではないかと杉本さんは説明する。

 ではその少女は誰か。「ぜひ動画で確認を。物語の裏にある史実を知って居留地のことを学ぶきっかけになれば 」と話す。動画は現在YouTubeチャンネル「助蔵さんぽ伊豆下田【幕末お吉研究会】」で全3話無料公開中。

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