第103話 幻の計画・鉄道忌避(きひ)伝説 とつか歴史探訪
鉄道の誘致運動がある反面、様々な理由で住民が鉄道建設に反対する運動もあったことが、各地の地誌や市町村史などに記載されていることがあります。
鉄道創世記には、「陸蒸気の騒音で鶏が卵を産まなくなる」などの噂がまことしやかに囁かれ、町や村をあげ反対し、駅と線路を市街地や村落の中心部から遠ざけたと言い伝えられています。これらは「鉄道忌避(きひ)伝説」と言われますが、その例の多くは当時の文献などからは確認出来ることは余りないようです。
近隣では、藤沢に鉄道忌避の伝説があります。
明治20(1887)年、東海道線が開通し、戸塚駅・藤沢駅が開業しました。藤沢駅は「旧東海道の藤沢宿の付近(遊行寺辺り)に設置される予定であったが、忌避運動で遠ざけられた」と言われます。ただ、そのような史実を伝える資料はないようです。
東海道線は、原則的に旧東海道に沿って敷設されましたが、戸塚〜藤沢間は丘陵を隔て離れたルートになっています。これは、同じ予算内でほぼ同時に建設することが決まった横須賀線を分岐するには、分岐点として大船を経由せざるを得なかったことによります。東海道線が大船を経由する場合、藤沢宿に駅を設けると蛇行ルートになり、高低差も大きくなります。それらを考慮し、合理的な判断として現在の藤沢駅が出来たのではと考えられます。
どのルートにしても反対意見は存在します。鉄道が通らなかった理由付けとして「鉄道忌避」が使われたのかも知れません。
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4月18日