戻る

金沢区・磯子区 人物風土記

公開日:2011.07.07

日本朗読ボクシング協会代表
楠 かつのりさん
能見台在住

新たな表現 創造力豊かに



 ○…先月、関内ホールで開催されたボクシング大会。選手から繰り出されるパンチは、拳ではなく、声―。そんな「詩のボクシング」を主宰するのが、音声詩人である彼だ。聞き手の共感を得なければ勝てないこの競技。他者を慮る心やコミュニケーション能力といった、現代社会で薄らいでしまった力が自然と身につくという。97年から始まった活動は、今では全国に波及。中学・高校など、教育現場でも活用されている。



 ○…「小学生のときね、自由研究で”宇宙都市”をつくろうとしたんです」。もともと絵は得意。今度は木材を使って、思い切り表現しようとした。「後先を考えないものだから、途中でバテてしまって」。宇宙都市はついに完成することはなかったが、おもしろいことを考えてすぐさま実行に移すという、”表現者”の片鱗はすでに現れていた。



 ○…大学はドイツに渡り、文学・哲学を専攻。帰国後は、文学の世界で何か新しいことを始めたいと考えた。そこで注目したのが、”声”だった。「現代の日本語は、あまりに活字が優位に立っている。そこに不満がありました」。えてして独りよがりになってしまいがちな「文字の言葉」と違い、話し手と受け手の双方が存在するのが「声の言葉」。他者とのつながりを生む、声の魅力を伝えたい。その気持ちが、「詩のボクシング」を始める原動力となった。



 ○…活躍の場は、詩の世界に留まらない。映像作家としての顔も持ち、10年前から区内の大学で教鞭をとっている。学生たちと自主制作作品の上映に奔走する今、次なる目標は「3D映像による紙芝居」。高価な機材がなくても、どこでも上映できる3D作品づくりに精を出す。金沢の魅力を尋ねると「岡山の内陸部で生まれ育った身には、海が近いことが一番ですね」と微笑む。そんな海のように広く深い、彼の創造力。次はどんな表現で、私たちに新しい世界を見せてくれるのだろうか。

 

    金沢区・磯子区 人気記事ランキング

    • 前日
    • 1週間
    • 1か月

    金沢区・磯子区 人気記事ランキング

    • 前日
    • 1週間
    • 1か月

    ピックアップ

    すべて見る

    意見広告・議会報告

    すべて見る

    金沢区・磯子区 人物風土記の新着記事

    金沢区・磯子区 人物風土記の記事を検索

    コラム

    コラム一覧

    • LINE
    • X
    • Facebook
    • youtube
    • RSS