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中区・西区・南区 人物風土記

公開日:2011.02.10

創立20周年を迎えた「横浜バロック室内合奏団」の代表
小笠原伸子さん
横須賀市在住 56歳

音楽の喜び発信し続ける



 ◯…「横浜バロック室内合奏団」は、今年で創立20周年を迎えた。91年4月の発足以来、その代表を務めている。バロック期の作品を中心に、上質な演奏活動を続けてきた同合奏団。「とかく難しいと思われがちですが、ノリが良くて楽しい曲も多くあります。何より作曲家の人間的な温かみや優しさを感じることができるはずです」。こんな愛情溢れる言葉で、クラシック音楽の魅力を語る。



 ◯…4歳でバイオリンを始め、東京芸大大学院を卒業後、神奈川フィルハーモニー管弦楽団へ。8年間の在籍で、コンサートミストレスも務めた後、「もっと室内楽を突き詰めたい」と若い演奏家たちと同合奏団を立ち上げた。年4回の定期公演に加え、関内駅近くの事務所兼サロンで開催される室内楽コンサートは、すでに100回を超える。09年には横浜文化賞奨励賞を受賞するなど、着実にその地歩を固めてきた。



 ◯…常に笑みを絶やさず、飾らない人柄が印象的。しかしこの20年は苦労の連続だった。演奏会を開けば赤字続き、運営を巡って訴訟に巻き込まれたことも。それでも「辞めたいと思ったことは一度もありません」とサラリ。「やりたいことをやるために必要なことだったら、意に沿わないこともやっぱり”やりたいこと”なんです」。大好きな曲を弾きたい、その幸福な時間を観客と共有したいという純粋な思いが、常に活動の原動力となってきた。



 ◯…目下の目標は、今月25日に控える定期演奏会の成功だ。日本に2台しかなく「幻の楽器」と言われるアルモニカが登場し、同合奏団と協演する。「天上の響きとも形容される美しい音色を多くの楽しんでもらえれば」と笑う。また今年4月にはサロンの移転を予定。「新しいサロンはこれまでよりも広くなる。そこに絵画を飾ったりして、美術家と音楽家の交流の拠点にしたい」と意欲を燃やす。音楽の探求と発信への情熱はまだまだ衰えそうにない。

 

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