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公開日:2022.11.17

薬の包装シートをリサイクル
中区内で回収、実証実験

  • 回収ボックスに使用済みの薬シートを入れるエリックさん(スギ薬局日本大通り店の調剤コーナーで)

 使用済みの薬の包装シートを回収し、リサイクルする実証実験が中区内で行われている。全国初の試みとして製薬会社の第一三共ヘルスケアと、リサイクル事業を行うテラサイクルジャパン=中区=が協同で実施。身近な薬局や公共施設などに回収ボックスを設置し、新たな資源循環の仕組み作りを目指す。

年1万3千トン生産

 中区内で10月20日から実証実験をスタートした「おくすりシートリサイクルプログラム」では、錠剤やカプセル剤を包装する使用済みの通称「おくすりシート」を専用ボックスで回収。プラスチックとアルミニウムに分離して新たな製品の原料にする。

 現在おくすりシートは、国内で年間約1万3千トンが生産されており、今後も高齢化に伴い使用量の増加が見込まれる。しかし、必要不可欠な医薬品包装資材という特性から削減が難しく、またペットボトルのようなリサイクルの仕組みが整っていない状況であることから、シートを資源循環させる新たな仕組みを構築したい考えだ。

 実証実験の期間は来年9月30日までの約1年。回収場所や回収量の実績調査、リサイクルに関する課題抽出、市民の意識変化などを検証する。

集めて提供資源や寄付に

 現在回収ボックスが設置されているのは、中区内の薬局やドラッグストア、みなと赤十字病院、中区内全6カ所の地域ケアプラザなど。横浜市も協力し、高齢者が集まりやすい公共施設を中心に、年内中に30カ所に広げる予定だ。また横浜市のごみ分別で薬シートは、アルミニウム部分を含めて「プラスチックごみ」になるが、誤って分別されることも多いといい、市では「市民に改めてごみ分別について考えてもらうきっかけになれば」と期待する。

 今回集まったシートの量に応じて、NPOや学校などへの寄付につながる取組も実施。テラサイクルジャパンのアジア太平洋統括責任者、エリック・カワバタさんは「資源循環とあわせて社会貢献にもつながる。次の薬を買う際に持参するなど、無理なく続けて欲しい」と説明した。

 第一三共ヘルスケアの広報担当者は実証実験開始から1カ月経ち、徐々に認知されてきたといい「皆さんの小さなアクションが次の世代の大きな課題解決につながる」と参加を呼び掛ける。

 回収対象は、メーカー問わず全ての処方薬や市販薬のシート。残っている薬は「燃やすごみ」に捨ててから持参する。回収場所などの詳細は、公式HP(「おくすりシートリサイクルプログラム」検索)で確認を。

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