中区・西区・南区 人物風土記
公開日:2023.07.20
山手133番館をモデルにした新刊『シモン・ド・ベルジュはかく語りき』を発表した
篠原 美季さん
西区在住 56歳
山手の欧州文化に憧れ
○…新聞記事で存在を知った山手133番館。当初は小説の舞台にするつもりはなかったという。同館の所有者は横浜観光土産菓子を手がける三陽物産。その社長の山本博士さんとは以前からの知り合いで、話を聞くうちにその洋館に魅かれた。「誰かに取り上げられる前に書かなければ」との思いで執筆。館を改修した時のエピソードを小説にも落とし込んだ。
○…幼稚園入園前から現在まで、ほとんどの時間を横浜で過ごしてきた。横浜雙葉中学高等学校を卒業後は大学、会社員、フリーターを経て小説の道へ。15歳ごろから「何となく自分は作家になるだろうな」と思ってはいたが、一念発起、挑戦するなら今しかないと決意した。3回目の応募作『英国妖異譚』で30歳の時に文庫新人賞の優秀賞を受賞しデビュー。オカルトミステリーを中心に著書は100を超す。
○…自宅にあった『くるみ割り人形』のレコードを聞いて物語を想像したり、漫画を描いたり読むのが好きだった幼少期。中高では丘の上に立つ洋館を見ながら登下校し、クリスマスシーズンの荘厳さ、仮装してハロウィーンを楽しむ様子など、欧州の文化に憧れた。そうした環境で育ってきたことが現在の小説にも影響を与えている。
○…「小説の執筆が仕事であり趣味」とはにかむ。5年ほど前から始めた茶道もきっかけは小説で書きたかったからだといい、着物を着て茶会に出かけることも。また、1日中没入して書いていると身体を動かしたくなり、スポーツジムに行きダンスやボクササイズをする。煮詰まると決まって行く場所は大さん橋。突端に立ち、一面の海を見てリフレッシュするという。「横浜を舞台にした物語を今後も書いていきたい」と目を輝かせながら話した。
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