2月4日に講演会を行う県立こども医療センターの新生児科医長 豊島 勝昭さん 弘明寺町在住 42歳
「小さな命」をみんなで守る
○…早産や出生後に病気になった新生児を治療する「NICU(新生児集中治療室)」で日々、小さな命を救うための医療を行う。NICU内の21床に空きベッドはほとんどない。県内各地からやってくる急な出産に対応できるか、緊張した状態が続く。「病気をなかったことにはできない」。昼夜を問わず「命」と正面から向き合う医師だからこそ、現実を冷静に見つめる。
○…「困った人を助けたい」。純粋な思いで医師を志すようになった。小児科医を目指そうとしたのは「子どもの病気は本人に理由がない」から。こども医療センターで研修を行い、「ここで働きたい」と直感。健気に病気に立ち向かう子どもの姿を見て、センター勤務3年目からNICUに携わるようになった。現場で強く感じたのは「病気は病院だけで治せるわけではない」ということ。「親も死生観を持つことが大切」と諭す。患者家族との出会いは一期一会。だからこそ、「子どもの痛み、苦しさも一緒に受け入れなければ」と思っている。
○…医療技術や機器が進歩する中、NICUではそれを活用できる人材が圧倒的に不足しているのが現状だ。そこで県職員の提案制度を使い、全国から短期の研修医を受け入れ、人材育成を行う取り組みを2年前からスタートさせた。これまでに24人の若手医師が経験を積んだ。県内には約150床のNICU病床があるが、人材不足で活用しきれず、他県に患者を受け入れてもらっている事実もある。「今後は県内の人材を育てたい」と願う。
○…激務の中、ほっとできるのは「銭湯通い」と読書。「桜もきれいで去り難いまち」になった。「厚労省の調査では33人に1人が出生後に何らかの治療が必要で、NICUは『あす、自分が入るかも知れない場所』」という。「NICUのスタッフのことも知ってほしい」と呼びかけ「小さな命」を守るため、病院内外を走り続ける。
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