母乳育児支援コラム11 抱いて、見つめて、話しかけて 保健師 朝倉 きみ子〈哺乳で「かむ力」を付ける〉
母乳やミルクの「飲み方」、離乳食の食べ方の良し悪しが口の発達と非常に深く関わっていることが解明されています。虫歯や歯槽膿漏などの不正咬合、顎関節症など、ほとんどの口の病気はその人の食習慣と密接に関係しています。
赤ちゃんは思い切り乳首をほおばって、舌や口の周り、顎などをリズミカルに力強く動かし、一生懸命母乳を飲みます。汗びっしょりになって飲む姿に気が付いたことはありませんか。
歯並びにも好影響
このように母乳を飲むことによって「かむ力」の基本を身に付け、歯並びにも好影響が与えられると考えられています。毎日、母乳を飲むことの積み重ねが子どもの口の基礎体力を付けます。生まれた時から母乳で育った子どもと人工栄養で育った子どもでは、不正咬合や歯並びにも差があるという研究結果もあります。
様々な理由で人工栄養の場合があるでしょう。哺乳瓶での哺乳が絶対に良くないということはありません。
幸い、口の発達を重視し、様々な工夫が施された乳首が出ていますので、そのようなものを選んで使いましょう。丸い穴が開いているものやクロスカット、Y字型にカットされた「吸飲型乳首」と呼ばれるものは、ストローで飲むような感覚です。これらは、簡単にミルクが出るため、舌や顎を動かす筋肉を鍛えるチャンスがなくなってしまいます。
口の基礎体力を育てるには、母乳に近い口の動きをするように工夫された咬合型乳首(かまなければミルクが出ない乳首)を使いましょう。自然から与えられた能力を生かしてあげることが何より大切です。
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