横浜市内の小学生による地域のマーチングバンドを作ろうと、マーチング経験者で3月末まで日枝小学校に勤務していた教員が活動している。働き方改革などにより、指導する教員が不足し、小学校のマーチング活動は縮小傾向にある。コロナ禍で演奏活動が難しくなる中、教員は学校とは別の形でバンドを立ち上げるため、インターネットを通したクラウドファンディングを活用し、楽器購入の資金200万円を集めている。
取り組みを進めているのは小学校教員の川端大介さん。自身は強豪校として知られる潮田中学校=鶴見区=でマーチングに出会い、湘南台高校=藤沢市=でも続けた。教員になってからも勤務校でマーチングの指導をしてきた。3月末まで日枝小で勤務し、4月1日からは鶴見区の新鶴見小学校に異動した。
活動盛んな横浜
マーチング発祥の地と言われる横浜は、以前から学校や社会人の活動が盛んで、各種の全国大会の常連団体が多い。2019年度の全国大会では小学生の部の大編成で高得点の「金賞」に選ばれた3団体が全て横浜市の学校だった。この大会では16年間、市立校が必ず金賞を受賞しており、横浜のマーチングのレベルの高さは全国的に知られている。
働き方改革で縮小
しかし、教員の多忙化を端緒とする働き改革が進み、児童・生徒が任意で活動するマーチングバンドなどの特別活動や部活動が縮小傾向にある。
川端さんによると、市立小学校のマーチングバンドは最盛期には数十校が活動していたが、最近では大会に出場するのは10校程度。39回続いてきた市教育委員会主催の「小学校マーチングバンド発表会」も昨年の開催で終了。この1年は、コロナ禍で練習ができなかったり、出演していた地域のイベントが中止になったことも加わって、活動がさらに縮小したという。
楽器購入に200万円
川端さんは、学校の垣根を越えて、横浜の小学生が活動できる受け皿を作ろうと、「横浜ジュニアマーチングバンド」を立ち上げることを企画。活動に欠かせない楽器を揃えるための資金として200万円をクラウドファンディングの形式で集めることにした。資金集めに学校は直接関与しないものの、川端さんは事前に市教委に活動趣旨を説明している。
まずはトランペット8本とドラムの購入費を集める。同時に新バンドに参加する児童も募っており、日枝小を含む数校からマーチング経験のある児童が参加の意向を示し、練習へ向けて準備を進める。練習は実際に集合して行うものとオンラインを組み合わせることを考えており、イベント出演も計画する。川端さんの呼び掛けに応じた指導者らも楽器の貸し出しなどを申し出ており、支援の輪が少しずつ広がっている。
青少年育成へ
横浜以外では学校とは別の主体によるバンドは珍しくない。川端さんは自身の経験も踏まえた上で「マーチングには目標を持って取り組むことの良さや社会性、協調性が身に付き、青少年育成の意味も大きい」と語り、「地域に愛されるバンドを目指し、子どもが輝ける場を提供したい」と話す。クラウドファンディングは専用サイト「READYFOR」で5月12日まで受付中。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|