地元農家協力、300坪で栽培
地元神大寺産のそば作りに、「そば処美善」の二代目(28)らが取り組んでいる。昨年初めて収穫した秋そばに続き、今年は6月に刈り取った夏そばを8月から提供しようと、製粉に向けて手作業による脱穀や異物の取り除き作業に忙しい。
同店の二代目が「種から育てる神大寺産のそばを作ってみたい」と、知り合いの地元キャベツ農家に直談判したのがきっかけ。契約栽培の形で、300坪の畑を使ったそば作りを始めた。
そばの栽培には寒暖差が大きい高地や水はけの良い傾斜地が適していることから、横浜でのそば作りには不安があった。しかしキャベツが良く育つ土壌ということもあってか、初挑戦となった昨秋の新そばは「思いのほか上出来だった」と二代目は振り返る。収量が少ないため、協力している農家や一部の常連客などに振る舞う程度だったが、「おいしいとか、(いつものそばと)ちょっと違うんじゃないと感想を話してくれたので、作ったかいがあったかな」
色で勝負
種は北海道の品種「キタワセ」を使い、今年の春に種をまいて6月上旬に収穫を行った。そば農家のようにコンバインを使って刈り取りと脱穀を同時に済ませることができないため、これらの工程を手作業で行う必要がある。刈り取ったそばは2週間ほど乾燥させ、脱穀や異物を取り除く唐箕(とうみ)がけなどを経て適度な水分を残しながら精米(磨き)すれば、特徴的な緑色のそばの実が姿を現す。
この緑色の実こそ、神大寺産そばの真骨頂だ。国産そばの大多数を占める北海道産や海外産などとの差別化を図ろうと、二代目は「味よりも美しい色のそばを楽しんでもらおう」と割り切り、あえて実が熟す前の状態で収穫しているという。
そば研究に余念なし
同店は1981年に創業。二代目は大学を卒業後に都内や長野県のそば屋で働き、3年ほど前に父から店を継いだ。父の代では外国産のそば粉を使い、そば打ちも機械で行っていたが、二代目からは「国産・手打ち」に変更。そばも自前の石臼で引くこだわりようだ。
全国のそばを食べ歩くだけでなく、栽培に関する文献などを読み漁るなど研究にも余念がない。「神大寺でそばを作ったのは自分が最初だと思っていたのに、実は江戸時代にはこの地でそばを栽培していた人がいると聞いた」と悔しがるが、地産のそば作りに情熱を注ぐことで改めてそばの奥深さをかみしめている。
少人数で準備を進めているため、提供開始の時期が遅れることもある。電話による事前予約制で、毎日数食を先着順に受け付ける。
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