宮前区 経済
公開日:2023.06.16
JFE跡地
28年度から一部利用
水素拠点 川崎市が方針案
今年9月に高炉が休止される川崎区扇島のJFEスチール東日本製鉄所京浜地区の跡地について、川崎市は6月2日、土地利用の方針案を示した。大深水バース(係留施設)の原料ヤード(貯蔵)のある約70ヘクタールを「先導エリア」と設定。2028年度からの一部土地利用を目指す。
方針案によると、先導エリアの南側は、温室効果ガスを実質ゼロにする「カーボンニュートラルエネルギーゾーン」。北側を「港湾物流・高度物流ゾーン」として整備。水素の貯蔵、供給の拠点を設け、そこから出た冷熱を利用した倉庫やローディングアーム荷揚げ設備を設ける予定。市によると、川崎臨海部は、日本初の大規模水素サプライチェーンの構築にむけた実証事業受け入れ地として選定。先導エリアの利用開始時期は、水素などの供給拠点の整備や実証開始の時期を見据えたという。先導エリアの整備と並行し、首都高湾岸線の出入口を整備。一部供用開始を目指すとしている。
高炉休止による扇島跡地の面積は約280ヘクタール。先導エリア以外では、次世代産業に関する研究開発や製造施設などの整備を検討。空飛ぶクルマの開発などをイメージする。扇島北地区では次世代ジェット燃料の開発などを想定したカーボンニュートラルエネルギー拠点を設けるとし、さらに、大規模展示場、短期滞在型住宅、ホテルや商業施設の整備も進めるとしている。
扇島跡地の官民合わせた投資額は30年度までに概算で約4700億円、50年度時点で累計約2兆600億円を見込む。このうち市の事業費は30年度までに約210億円、50年度時点で約2050億円を予定。一方、税収額は30年度に約60億円、2050年度時点で約140億円となるとし、50年代中頃に、税収の上昇分の累計額が市の概算事業費の累計額を上回る結果を見込む。
土地利用の方針案について、市はウェブサイトで公表。また、7月15日まで意見公募(パブリックコメント)を実施している。
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