産前産後の母子サポートなどを手掛ける地元の訪問看護ステーションが、妊婦の「つわり」が原因の諸症状に対して「(辛さを緩和する)点滴を自宅で受けることのできる仕組み」のPRに努めている。医療保険の利用もできるこのケア制度の存在は、これまで広く周知されておらず「当たり前に利用できるようにしていければ」と、展望を話している。
妊娠初期のつわりに対して担当医が「点滴が必要」と診断し訪問看護指示書を発行した場合、医療保険適応で自宅で点滴を受ける事ができる―。
現在、この制度の周知と利用を広く呼び掛けているのは、高津区に拠点を構える「あゆむ訪問看護チーム」(木村里美代表/高津区千年1035【電話】050・1751・8025)。
市内の総合病院での勤務経験を持つ木村代表。「訪問看護と聞くと、高齢者や重い疾患や障害を抱えている方を想像される方も少なくないかと思いますが、本来は新生児から高齢者まで医師が訪問看護が必要と診断した場合は誰もが対象となります」と説明する。さらに自身が妊娠した際、重症のつわりとなり「辛さを緩和する点滴が自宅でできたらどんなに楽だろうと何度も思った」という経験などがきっかけとなり、約4年の構想期間を経て昨秋、訪問看護ステーションの設立に至ったという。
「需要増加」を予測
この訪問看護ステーションは、周産期の母子向けの産前産後ケアに注力している。中でも前出の制度については「昨今のコロナ禍で医療体制が逼迫する中(訪問看護の利用範囲拡充で)医療現場の負担軽減にもつながる」と期待されている。
木村代表は「子育て世帯の多い川崎市における需要は今後増えるのでは」と予測している。
母子サポートの一環
一方、妊婦がこうした訪問看護を利用できること自体、一般的には広く知られておらず、木村代表は「医療機関と保健所と地域が連携して母子の継続したサポートが当たり前にできて、困った時は手をあげてヘルプを求められる社会のロジックが必要」と力説。その上で「自宅でケアが受けられることをPRしていきたい」と意欲を見せる。具体的にはかつての勤務先だった関東労災病院の産婦人科外来と連携を図り市内近郊の母子サポートの体制拡充に力を入れる。またその一環として「妊婦が訪問看護を利用できる」「つわりに対する点滴ケアも自宅で保険適用でできる」といった点を周知する方針。例えば、つわりで「1週間入院した場合」と「訪問看護を5日間利用した場合」の比較では、費用負担の面などでも差異が生じることがあるという。
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