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公開日:2023.09.01
タカツクラフト
持続可能な「給餌(きゅうじ)バケツ」
新江ノ島水族館と開発
協同組合高津工友会の青年部から構成されるモノづくり団体「タカツクラフト」が、新江ノ島水族館(藤沢市)で飼育スタッフが用いる「給餌バケツ」の改良を行った。環境面や衛生面を考慮し様々な工夫を施している。
一般的な水族館で「給餌バケツ」はプラスチック製など主流だが、イルカショーなどで使用する際、温度の影響を受けやすく、鮮度を保つ事に不向きとされてきた。また餌の魚から出る「ドリップ」(組織液)がバケツの底に溜まることで菌が繁殖するリスクに悩まされるケースも多発。加えて古いプラスチック製のバケツを廃棄する際には環境への悪影響も懸念されており、近年SDGsへの取り組みを強化している新江ノ島水族館では、この「給餌バケツ」の改良に乗り出した。
パートナーとなったタカツクラフト側は、氷で温度を維持しやすく、プラスチックの廃棄量削減にも役立つとして「ステンレス素材」を選択。構造を二重にすることで餌から出るドリップがバケツ内の底に溜まる仕組みを構築した。さらにイルカショーなどでの使いまわしを考慮し、部品を最小限にする事で、軽いバケツに仕上げてみせた。
地元企業の力、集結
製作に際しては「株式会社大矢製作所」「株式会社ヒラミヤ」「セサミファクトリー」らが開発を主導。「ステンレス製」や「二重構造」といったコンセプトは、環境への配慮や餌の衛生管理などに関して、細やかな配慮が施されている。
さらに製作過程において、コストの問題からサンプルの数にも限りがあったため、江ノ島水族館の担当者がホームセンターでサイズや重さが似たバケツで使い勝手の「実験」に協力するなど協調体制を構築。大矢製作所の大矢賢司さんは「(水族館側からは)本当に課題解決したい思いが伝わり、僕らも一生懸命やろうと決めた」と当時を回顧。苦難の末、1年の歳月をかけて完成した「給餌バケツ」は好評を博し、新江ノ島水族館の飼育担当・島森麻衣さんは「動物たちに少しでも長生きして欲しいと思っています。大事に使用したい」とコメント。今年7月からは各種ショーなどでも使用される程、重用されている。
今後の展開に期待も
「タカツクラフト」は市内の様々な分野の製造業者で構成された団体。それぞれが培ってきた技術や知識を結集して、これまでも「大豆選別機」や「キムチポット」など新しい製品の開発を行っており、今後の展開にも注目が寄せられている。
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