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多摩区・麻生区 人物風土記

公開日:2019.01.01

NHK大河ドラマ「西郷どん」で、わら細工シーンの指導に携わった
中島 安啓さん
「民技会」所属 54歳

  • 中島 安啓さん (写真1)

「民家園に、骨うずめたい」

 ○…昨年放映されたNHK大河ドラマ「西郷どん」で、主演の鈴木亮平さんほか出演者にわら細工を指導。西郷隆盛の実家を舞台にぞうりを編む場面など、撮影協力に携わった。鈴木さんが劇中に履いていた足裏半ばの「足半(あしなか)ぞうり」は、当時を再現して作ってあげた逸品だ。「普通のは足裏から離れて走りにくい。これだと足指が出て踏ん張りがきく」。経験と知識に裏打ちされた視点は鋭い。

 ○…大阪市で生まれ育ち、大学を出て大手IT企業に勤務してきた。環境活動に関心を持ち、農地を買って米や野菜を作る中で、あるとき疑問を抱いた。「できたお米はビニール袋に入っているじゃないか」。米俵やわらじ、むしろはお米の収穫後の草を使った「わら」でできている。「昔の生活の中で大切な部分に光が当たっていない」。新たな人生が始まろうとしていた。

 ○…30代になり転勤で上京したのを機に、わら細工で弟子入りできる場所を夢中で探し回った。日本民家園で活動する民具製作技術保存会「民技会」の存在を偶然聞きつけると、会社を休み現地へ。当時の会長に手ほどきを受け、約8時間かけて一足のわらぞうりを製作。もともと手作業が好きで、会長の「あんた、筋がいい」の一言に背中を押された。以降、仕事との両輪で続けてきたが、わら細工「一本」でいこうと1年ほど前に退職。テレビや映画の撮影協力のほか、商業施設や博物館での展示会や製作実演、体験講座など活動の場はさらに広がりつつある。

 ○…生田緑地にたたずむ日本民家園には、都内の自宅から毎週通う。「古民家があって落ち着く。生活の自然な流れの中で、わら仕事ができるホームグラウンド」。己の技術向上はもちろん、記録の編集、後進育成など使命感は尽きない。「わらと共に、ここで生涯を全うする」

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