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公開日:2022.09.16
日本宮彫協会
子之神社 保存に一助
本殿調査、菅氏子会へ報告
緻密な装飾彫刻で埋め尽くされ、貴重な建造物として川崎市重要歴史記念物に指定されている菅北浦の子之(ねの)神社本殿。一般社団法人日本宮彫協会は9月5日、千葉大学と共同で行った同本殿の調査について、神社を支える菅氏子会役員らへの報告会を開いた。3Dデータや縮小模型を活用し、文化財を次代へ受け継ぐ一助としたい考えだ。
宮彫とは、社寺建築に取り付けられた木彫装飾彫刻のこと。全国的に研究や保護の動きが進まないことを危惧し、区内在住の宮彫師・小野貴登司さんが関係者らに呼びかけ19年に協会を発足させた。理事の一人、宮彫写真家の若林純さんが子之神社本殿の撮影を望んでいたことも重なり、氏子会の協力で同年9月と10月に3度の調査を実施。コロナの影響で3年越しの報告会となった。
特徴や価値 再認識
市の過去の調査によると、本殿は19世紀中頃に造られたと推定。龍や動物のほか、三国志など物語の一場面を描いた彫刻、上り龍と下り龍が巻き付いた柱の彫刻があるが制作者は不明だった。
境内で開かれた報告会には約25人の氏子会役員に加え、市の文化財担当者らも出席。協会代表理事の小野さんは、明らかになった彫物の題名や、他社寺の宮彫と比較した構造的な特徴を発表。拝殿の彫刻の作者・後藤勇次郎(1829―87)から、本殿の作者は師匠の後藤富五郎である可能性を示した。
柱の彫刻の3Dデータを取得した千葉大学大学院デザイン文化計画研究室は、その過程やケヤキ材で制作した縮小模型について説明。植田憲教授は「貴重な文化財を記録し保存するとともに、多くの人と共有して価値を高めていく。データの活用についても進めていければ」と先を見据えた。
同協会は今後も検証を進め、地域向けの報告も視野に入れる。「文化財保護は行政や地域、研究者など多くの人が密に関わらないと成立しない。地域の若い人にも知ってもらうことが大事」と小野さん。氏子会の上原宏也会長は「しっかりと保存し、後世に伝えていく使命を果たしたい」と思いを新たにしている。
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