議会報告 スマホ苦手でも恩恵を―「優しいデジタル化」提言 川崎市議会議員 上原まさひろ
私の調べでは、川崎市はどの自治体よりも早い今年5月に全ての手続きを『原則オンライン化』する。ただし未だ議論が十分でなく、市民の皆様の認知も進んでいないのが現実だ。マイナンバーが普及し、国ではデジタル庁も発足。今こそ、市民の皆様の視点で議論を要するタイミングと考え、昨年12月議会で一般質問を行った。
■いつでもどこでも効率化の大きなポテンシャルに
川崎市には3500のいわゆる「手続き」が存在する。個人法人にかかわらず、申請等の「手続き」をしたい市民は、かつて窓口に赴き必要な書類に記入、場合によっては印鑑を携え、様々な証明書などの添付書類を提出してきた。
現段階ではほとんどの手続きはこのような手順で行っているが、今春からはマイナンバーカード等を利用して身元確認し、スマホやパソコンから申請に必要な事項を記入すれば手続きが終了する。少なくとも児童手当現状更新手続きなど子育分野、介護認定更新などの介護分野では、マイナンバーカードが活躍することがわかってきている。当然24時間手続き可能。区役所に赴く時間に気を配る必要もなければ待ち時間もない。
■「窓口が空く」は実現するか
デジタル化のメリットは公平公正で正確、かつ効率が良くなることだ。手続きがオンライン化されれば窓口業務は大幅に軽減される。市民の皆様にとっても、順番待ち等のストレスが減ることになる。市としては記入漏れ等の確認も自動で制御することができる上、申込書等をパソコンに打ち直す必要もなくなる。
川崎市1万6千人の職員は2千万時間の勤務時間のうち、手続き業務の占める割合は4・4%。時間だけでなく、手続き後の諸作業も大きく削減される可能性がある。オンライン化に合わせて、無駄な手続きそのものを簡略化する事例も答弁で市から報告があった。
■スマホなくとも恩恵のある「優しいデジタル化」を
デジタルデバイド対策を主張する政治家もいる。誰でも使える仕組みなのだから、スマホが苦手な方にも使ってもらうように工夫する方式だ。しかし私は、デジタル技術を使いたい人が使うことで、結果的に使わない人にもメリットにつながる「優しいデジタル化」を進めたい。これが公共の責任と考える。
議会で私が最大の論点としたのは、「効率化され生まれた時間を、必要な市民のために使うべき」との主張だ。時間効率が良くなったからといって、人員削減は市民サービスの低下に直結する。とりわけ医療保険や介護に関わる様々な療養費の申請等は提出書類も煩雑なものが多く、手をかけて寄り添う時間と余裕を担当職員に持っていただきたい。また区役所の問題である。区役所の混雑は、日々の地道な努力はあるものの抜本的解決に至っていない。必要なときには窓口に親身に相談に乗ってもらえるよう市に要請した。
「デジタル化のおかげで窓口は全く混まないから、安心して利用を」「時間をとって親身に話を聞いてもらえるようになった」と言える、「優しいデジタル化」川崎市を実現したい。最新の見識をアップデートし、議会内外での議論を急ぐ。
|
|
|
|
|
|
3月29日