意見広告・議会報告
議会報告 多摩区の未来を拓く3つの提案 川崎市議会議員(多摩区) 上原まさひろ
令和6年第4回定例会では、各会派の代表質問、各議員の一般質問が行われた。私からは、稲田堤駅のベビーカー・車椅子の通行に優しい幅広改札、登戸北側交差点の混雑調査要望のほか、多摩区そして川崎市の未来を守りたいと願いを込めた3つの提案を行った。
【1】通学路の安全対策としての防犯カメラの設置の提案
川崎市では町内会・自治会、商店会等の防犯カメラの設置を補助している。一方、通学路の安全対策は結果的に見守りボランティアの力に頼り、交通安全が主となる。防犯対策は情報共有などに留まり抑止力に欠ける。
不審者による殺傷事件等が相次ぐ中、自治体は実勢に合わせ、防犯に主体的に取り組む必要がある。神戸市などは「見る&守る」として自主的に防犯カメラの設置に取り組む。川崎市にも必要と考える。教育委員会は先行事例を参考に関係機関と連携する考えだ。
【2】三沢川浸水対策と水路保全計画策定の提案
三沢川浸水対策として、菅稲田堤3丁目にある菅第3公園にポンプ施設の設置が検討されている。菅・菅稲田堤・菅城下等などの地域雨水を排水するためのものだ。
昨今の気候変動の影響や線状降水帯の頻発もあり、不測の事態への備えは欠かせない。時間あたり雨量58mm対応、36億円に上るが、むしろこの規模で十分なのか。一方的な「不要論」は許しがたいことも議会で訴えた。
昨年2月に示された、機能を羅列しただけの素案は、景観としても地域の心情としても受け入れられるものではないことは私からも意見し市も認めた。地域の声を反映すべく、「公園として利用できる空間を最大限確保することを目指し、地上に設置する設備を最小化する方法について検討を進めている」との答弁で、本年3月までに案が示されるという。
この議題となった時、私の胸に去来するのは被害にあった地元の人々の痛みだ。現地に入り町会役員として罹災届の窓口設置を行政に要請し、折り畳み机を持ち込んだ。町会主体でボランティアを募集し、80名近い「仲間」と浸水した家庭を訪ね、仏壇や箪笥を運び出し、行政に緊急要請したパッカー車に運び込んだ。それでも支援は届かず、生活再建に金も時間も精神的にも負担をした被災者の痛みを忘れてはいけない。今も雨の日は不安が続く。一刻も早い浸水対策が求められる。
公園は地域の体操や保育園児らも利用している。ここに暮らす住民の思い出や、公園への思いも守る覚悟が必要だ。
公園への設置ではない方法も繰り返し議論してきた。ポンプ車のみでの対応、再編整備が予定される稲田公園への地下貯留池の設置、小型のポンプゲートの複数設置など代替案を模索してきた。
多摩区には市内約150Kmある水路の約1/3が集中している。農業用水が最重要目的だが、実質、雨水排水施設として機能している水路が各々の目的に合わせてしっかりと管理されていなければ浸水対策も絵に描いた餅だ。また水路は生活に密着した存在である。大丸用水の場合、上流の稲城市との連携も不可欠。市内外の関係機関がそれぞれの役割を明確化し連携を取れるよう水路保全計画の導入を提案した。
【3】中野島駅「北口」の常用化の提案
稲田堤駅の橋上駅舎化は、市としては安全確保と地域分断解消の狙いがあった。無理な踏切の横断がなくなったという面では、その効果は疑いようがない。一方、地域分断の解消に至ったか、地域の声はどうかと一年前に問い、今議会でも問うた。答弁は「駅利用者からは、便利に、綺麗になった」。地域分断解消と駅利用はイコールではない。地域への意見聴取がされた形跡もなく、残念ながら汗も情熱も感じられない。
では中野島駅はどうか。今後、橋上化の順番が回ってくる可能性があるが、本当に最優先すべき地元の総意なのか。中野島駅南側に住む人は現改札を、北側に住む人は北口を使うことが優先されるのではないか。稲田堤駅は橋上駅舎化されたが、一つの「歩道橋」が地域分断を解決した実感は私にはない。この経験は生かされるべきだ。
30億円を超えた稲田堤駅の例でもわかることだが、工事費用は市が負担する。中野島駅に着手する頃には、さらなる物価高騰も否定できない。開発費を改札の運営費に回すことはできないのか。現在の運営費はカリタス学園が負担しているが、市が負担し、市民が終日利用できるようにすることはできないのか。また大事なことは、しっかりと地元の意見を聞き、事業を進めることだ。一年を経て、地元に意見を伺うことを約束していただいたことには、心から感謝したい。中野島駅周辺にお住まいの皆様も、ぜひ行政からの意見聴取にご協力を願う。
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6月13日