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公開日:2026.06.05
小澤さんの「語り」次世代へ 幸区の書店 追悼コーナー
人の口から耳へと語り継がれる口承文芸の学者で、筑波大学名誉教授の小澤俊夫さんが4月18日に96歳で死去したことを受け、幸区にある「北野書店」が、店内に特設コーナーを設置した。生前親交が深く、自社で出版も手がけてきた同店が追悼の意を込め、小澤さんの遺した言葉を改めて紹介している。
両者の交流は2015年、北野嘉信代表取締役会長が『かわさきのむかし話』を復刻した際、生前、多摩区南生田に住居を構え、昔話研究の第一人者であった小澤さんを訪ねたことから始まった。09年刊行の名著『こんにちは、昔話です』が絶版状態にあると知った北野会長が復刊を申し出ると、小澤さんは「そんなうれしい話、ありがとう」と快諾。22年10月に同店の手で復刊が実現した。北野会長は、「昔話は『育て方』ではなく、子どもの多様な『育ち方』を教えてくれる。子育ての指針になれば」と力を込める。
コーナーでは、同書に記された思想や至言をパネルで掲示。「子どもはおとなよりもはるかに敏感です。生きていることに対して」などといった小澤さんの温かなフレーズが並ぶ。また、小澤さんは「語り終わったら消えてしまうからこそ、語ることが大事」と説き続け、既存の読み物を「語るための本」として再話することを提案。同店と共に『川崎の昔話を語ろう』を製作した。小澤さんはこれを「川崎モデル」と呼び、全国展開への期待を寄せていたという。呼びかけに応じるように市内では司書らによる「語る会」の活動が今も草の根で続いている。
かつて幸区に居を構えていたことのある小澤さんは、弟で指揮者の故・小澤征爾さんが、この地から米国へ旅立った折の思い出を北野会長に語ったこともある。講演会ではその穏やかで包容力のある語り口に多くの聴衆が引き込まれたという。
同店でのフェアは6月中旬まで開催予定。北野会長は「先生が遺した昔話の重要性と深い愛情をこの地でつなぎ続けていくことが私たちの使命」と決意を新たにする。
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