久々に校舎に響く、子どもたちの声――。このたび市立小中学校を卒業する児童生徒が2月28日以来、約1カ月ぶりに登校し、クラスメイトや教職員との笑顔の再会を果たすとともに慣れ親しんだ学び舎に別れを告げた。卒業式は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、規模を縮小して執り行われた。
上溝南小学校では23日に式が開かれ、卒業生児童124人全員が参加した。卒業生たちの中には中学の制服姿が見られたほか、晴れ着姿もあった。久しぶりのホームルームの後、卒業生と教職員のみの卒業式を実施。式では国歌斉唱のみで校歌は歌わなかったが、卒業証書は全員が壇上で受け取った。その中で、通常であれば行われる予定だった在校生の送る言葉の代わりとして、元担任の教職員が壇上から卒業生にメッセージを送る機会が設けられ、多くの教職員、児童が涙を流す場面があった。式が終わると、卒業生たちは教職員からの大きな拍手を受けながら退場した。
同校を卒業する山城拓さんは「親がいなかったけど、先生から卒業おめでとうと言われて全て満足しました。とても良い卒業式でした」と振り返り、中学校では「この1カ月休んだ分、友達と思いっきり遊んでいっぱい思い出をつくりたい」と話し希望を込めた。父親の寛信さんは式に触れ、「心の準備が大変だったと思う」と拓さんの心境に思いを寄せながらも、「中学では友達をたくさんつくってほしい」とし、次なる舞台での健やかな成長を願った。