国土交通省はこのほど、2023年1月1日時点の住宅地および商業地等の地価公示を公表した。全国平均で住宅地・商業地・工業地などの全用途で2年連続上昇。「コロナの影響で弱含んでいた地価が緩やかに持ち直し、回復傾向が顕著となった」との見解を示した。相模原市では全用途で全国および県の平均を大きく上回る結果となり、橋本駅周辺の商業地が県内上昇率で4位となった。
地価公示は地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を公示するもの。土地価格の指標や公共事業用地の取得価格算定の規準とされる。
神奈川県内の調査地点は1787地点。このうち前年からの継続地点は1762地点。選定替地点は25地点だった。相模原市内の調査地点は131地点、緑区内は36地点の価格が公示された。
外縁部にも波及
県内の住宅地については継続地点中、上昇地点の占める割合が74・5%(前年49・5%)と大幅に上昇。下落地点においても下落率が前年より概ね縮小したことから、県全体の平均変動率は1・4%(前年0・2%)と上昇率が拡大した。
相模原市では、全ての区で上昇を示し、市全体の平均変動率は1・9% (前年0・8%)と上昇率が拡大。県政策局では「緑区の橋本駅周辺では利便性が高いことによる旺盛な需要に加えて、リニア中央新幹線事業の進捗による発展的期待感から上昇が継続している」と分析している。また、徒歩圏内の外縁部やバス圏においても、駅周辺の価格上昇が波及し地価の上昇が見られた。上昇率では緑区が2%以上、中央区、南区は1%以上の上昇となった。
価格が最も高い地点は「南区相模大野2丁目3388番10外」の33万円/平方メートル、次いで「橋本6丁目249番18」の32・8万円/平方メートル。最も価格が低い地点は「千木良字柳馬場431番1」の3・02万円/平方メートルだった。
リニアへの期待感
県内の商業地については継続地点中、上昇地点の占める割合が87・7%(前年71・1%)となり、県全体の平均変動率も2・9%(前年1・0%)と上昇率が拡大。資金調達環境は昨年同様に良好で、市街地再開発事業や商業施設が充実する地区では投資需要も見込まれる状況にあることが要因とみられる。県は「飲食や観光業はコロナの影響が残るものの、外国人の入国制限が緩和されたことを受けて賑わいが徐々に戻っている。ただし、繁華街の飲食店においてはコロナ禍前までの回復は見られない」と読む。
相模原市では、全ての区で上昇を示し、市全体の平均変動率は3・0%(前年0・9%)と上昇率が拡大した。「橋本駅周辺地区は、リニア中央新幹線の事業進捗による駅周辺の整備発展や商業集積の充実に対する期待感に加え、将来のマンション利用を見据えた需要が地価を牽引しているようだ」と県は見る。
上昇率を区ごとに見ると、緑区、中央区の2区で3%以上、南区で2%以上の上昇だった。また「橋本2丁目344番1外」は変動率10・3%で県内上昇率4位だった。
高速道路整備周辺で上昇
工業地については、高速交通道路網の整備により周辺工業地を中心に地価が上昇。県全体の平均変動率は4・3%(前年2・6%)、相模原市では4・5%(前年3・6%)と上昇率が拡大となった。
市内で価格が最も高い地点は「西橋本5丁目1127番6」の14・1万円/平方メートルだった。
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