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町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の75

掲載号:2021年4月29日号

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欲の大小

 いよいよ感染力が強いとされる変異株も増加して、マスク会食が推奨されるのが当たり前のように報じられているが、マスクを外して、あるいはずらして食べ、すぐに戻して会話という動作を繰り返すのもなかなか難しい。ならばしゃべらなければいいという意見もあるが、会食の意味があるのかどうか悩ましい問題だ。では、一気に黙々と食べて、終わってからゆっくりと話すのはどうか。それなら各自食事してから会って話すのとあまり変わらないのではないか。

 一方、外来植物のメリケントキンソウも増殖している。こちらは日本国民に気づかれないようこっそり、たくましくしたたかに。パセリのような小さい草で、皆さんの近くにもきっとあるはず。ヒメカミツレに似ているが、花の柄がヒメカミツレほど長くないから区別できる。はびこるように増殖した見た目は、緑がきれいで邪魔にもならない。花が立ち上がって咲くようなこともなく、葉に埋もれるように花らしからぬ花を咲かせて種を作る。種には鋭いとげがあって、靴の裏などに刺さって移動する。花期から種ができるまでの時期に、上に座ったり手をついたりするとチクリとかなり痛いから注意。あいさつもせず、音もなく、まさに隠密行動で欧米からやってきたくせ者だが、触れなければ無害だからコロナとは大違いだ。

 かれこれ半年以上、社殿の密を避けるため、お祓いは預かり祈願だけで対応してきたが、宗教法人は事業費給付金の対象にもならないから苦しい。春の日差しを受けながら座り込み、足元の小さなメリケントキンソウに話しかけるようにあれこれ考える。日々こんなに感染対策に努めてきてるのに、かれこれ1年間外食していないのに、厚労省の某部署で、コロナを受け入れている大病院で、送別会や歓迎会をしてすっぱぬかれて謝罪や処分。なんともふに落ちない。真面目に取り組んでいる人々の心を逆なでしている。海を渡ってやってきた、いや渡らされたメリケントキンソウは、こんなに小さくても種子を作るという欲望のためだけに生きている。人間の我慢はまだたった1年。欲がたくさんありすぎるから我慢が効かない。食べたい、飲みたい、会いたい、話したい、見たい、聴きたい、旅したい・・・。我慢ではなく周りの人たちを守りたいという欲だと思えば、まだやれると自分に喝を入れよう。特にコロナと戦う最前線で気を緩めてしまった人たち、庶民の上に座ったらチクリと痛い目に遭うこともあるから。
 

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