戻る

町田 人物風土記

公開日:2023.10.05

鶴川で今月上映される原爆をテーマにした映画の企画・製作を務めた
中村 里美さん
町田市在住 59歳

平和の種まき これからも

 ○…上映するのは広島市内の公園で被爆体験を語り続けた女性の物語。2013年に公開し、高い評価を受けてきた作品を今回は地元地域の人たちと共に自主上映する。「戦争を知らない世代が増えていく。この映画が原爆について考えるきっかけになれば」。これまで国内、海外で上映してきた数は自身も数えきれないほどに。使命感は年々高まっている。

 ○…学生の頃は戦争について深く考えることはなかった。きっかけはアメリカで原爆の映画を広めるボランティアに加わったこと。渡米前に数多くの被爆者と出会うなかで刺激を受け、彼、彼女らの思いを「伝えたい」という思いが、アメリカで一人、280カ所にわたる上映を成し遂げる動機となった。「被爆者の言葉に直接触れて、その人たちの思いを絶やしたくなくなった」

 ○…戦争の恐ろしさを伝える手段としてきたのは映像だけではなく、朗読や音楽でも。各地で「いのちの大切さ」や「平和を愛する心」を伝える活動はライフワークの1つとなり、シンガーソングライターとして思いを歌にすることも。7年前には拠点を野津田町へ移し、地域と交流するうちにここから発信していきたいという思いが強くなった。さまざまな縁が生まれる街。感謝の気持ちしかない。

 ○…「先人から受け継いだ命のバトンを後世にもつなげていきたい」。その一心で続けてきた映画上映も今年、10年目を迎えた。1つの作品を何度も、長く見てもらうことを念頭にそうして定着させていくことが平和を広める「種まき」になると信じている。現在は新しい映画の製作真っ只中。被爆者たちの思いをどう形として残していくか。尽きない課題に取り組む毎日はこれからも続いていきそうだ。

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

町田 人物風土記の新着記事

町田 人物風土記の記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS